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場合のミスファイアは、過給機を全出力で運転中に発生するシリンダ1基の燃料噴射故障が原因となる。

エンジン回転不規則性とは逆に、ミスファイア時に発生するねじり振動の算定は簡単な場合が多い。一番算定しやすいのは、もちろんシリンダの作動停止と無圧縮の場合である。シリンダ作動停止の場合は、励振を計算に含めない。無圧縮の場合は、質量要素の力が加わる場合のみ励振が起こる。燃料噴射がない場合は、総圧縮力に対応する質量要素の力とガスの力により励振が起こる。

関連チャージ圧における圧縮の倍振動成分は、ディーゼル・エンジンのシミユレーション・プログラムを使って算定できる。圧縮曲線に関する詳細な情報がない場合に業界でよく採用される方法は、全負荷インパルスとの所定関係に基づいてミスファイア・インパルスを算定する方法である。たとえばミスファイア時の次数1.5は、全負荷運転時の次数1.5の50%に相当するとみなされる場合が多い。しかし、ミスファイア・インパルスと全負荷インパルスの位相差を無視して、そうした関係のみを採用すれば、算定結果は不正確なものとなる。

圧縮時の概算接線圧曲線を採用する場合は、これを純正弦級数で表すことができるものと思われる。次式は4行程エンジンの場合に得られたものである。

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振幅Pnの計算方法を図15に示す。接線圧曲線は非対称曲線として概算されるので、正弦項だけのものとなる。さらに、Pnは圧縮率とチャージ圧のみに左右されるとみなされている。この概算方法はVolvo Penta社により開発されたもので、同社の6気筒(4行程)ディーゼル・エンジンに実用化されてきた。だからといって、もちろん、あらゆる種頴の過給機付きディーゼル・エンジンにこの方法を採用できるというわけではない。

 

 

 

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