タイプ3のダンパーはすべてサイズモ系質量要素とケーシングの間に弾性があるので、その減衰は速度に比例すると考えることができる。この種のダンバーは通常広い速度範囲に渡って使用できる。同調化も必要だが、式(16)により同調化しても、最高の性能を発揮するという保証はない。その場合でも、同調方程式は比較的複雑になり、少数の慣性質量で振動系を概算するので、解析的方法でしか計算できない。その例については、参考資料[2]を参照されたい。そのため、同調化の際にねじり振動ソフトウェアを使用する場合が多い。それに関しては、弾性を備えたダンパーには常にもう一つの振動モードが加わるので、エンジン前端部の最小振幅でクランク軸に最低ねじりトルクを発生させる必要がないことを認めるべきである。
出力約500kW未満の舶用デイーゼル・エンジンの場合は、ゴム・ダンパーと粘性ダンパーが一番使用されている。その一般的設計を図7に示す。ゴム・ダンパーはタイプ3のダンパーだが、タイプ1とほぼ同じ位同調化される。粘性ダンパーは通常タイプ2として扱われるが、タイプ3として扱う必要があることがごく最近の研究から明らかになっている。その例については、参考資料[7]を参照されたい。高粘度の特殊シリコン油は、非ニュートン流体として扱うべきである。以下においては、高粘度と低粘度という用語を使用する(しかし、こうした用語は一般に認められた概念ではない)。ここで言う高粘度ダンパーとは、弾性と減衰性を備えたダンパー(タイプ3のダンパー)である。低粘度ダンバーとは、粘度特性を無視できるほどの減衰流体を有するダンパー(タイプ2のダンパー)である。