ー番簡単な集中慣性算定方法はCADソフトウェアを使用する方法だが、ねじり剛性はFEMや各種解析方法を使って算定される。参考資料に[1]と[2]に挙げられているクランク軸のねじり剛性算定方法からは、これまでのところ各種試験やFEMとも十分比較できる結果が得られている。エンジンの内部減衰に関する限り、通常は実地試験が基準となっている。内部減衰は、質量減衰や軸減衰として示すことが重要である。1型式しか使用しない場合は、他の振動モードにおいて減衰値が過小評価または過大評価され、主としてエンジンのクランク軸が剛体として行動するモードに、その減衰値が適用される恐れがかなりある。
12リッターの6気筒エンジンに記録された測定値は、Me=40、Ms=40という増倍係数を示している。外部振動ダンパーを取りはずし、エンジン前端部において各エンジン・オーダーの角変位振幅を測定した。まず最初に、共振振動数が算定値と一致するかどうかを調べた。次に、危険速度からほど遠い応答を算定値と比較し、算定に使用したガス励振値と比較した。最後に、対応する共振ピーク値に近い応答値を比較し、その後でエンジン減衰の最終値を算定した。各種エンジン前端部における振幅の測定値と算定値(および励振時および減衰時の平準値)を図5に示す。