振幅と平均値(図3を参照されたい)は次のように算定する。
振幅:(最大値ー最小値) /2 (14)
平均値:(最大値+最小値) /2 (15)
1.エンジンのクランク軸におけるねじり振動
エンジンの減衰
上述したように、フライホイールの軽量化、ねじり剛性の低下、励振トルクの増大化に伴い、今回の舶用エンジンはねじり振動にますます感応しやすくなっている。エンジンの正常運転範囲内においてエンジンのクランク軸がねじり危険速度に達する現象は、一般的に認められる。こうした現象はクランク軸に大きな荷重をかけ、エンジン前端部に高い回転不規則性を発生させる恐れがある。そうした場合は、内部減衰(ピストン、軸受など)が不十分で、ねじり振動を抑制できないことが多い。したがって、大多数のケースでは、何らかの形の振動ダンパーをエンジン前端部に装備する必要がある。
各種ダンパーについて概説する前に、エンジンの内部減衰についてもう少し述べる必要がある。外部振動ダンパーを特別に装備していれば、内部減衰が必要不可欠になるというわけではないが、ねじり振動によるトルクと振幅を適正に算定するには、エンジンの内部減衰について知る必要がある。エンジンのクランク軸は、通常、集中慣性、ねじり剛性、減衰要素を導入して図4のようにモデル化されている。