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船舶用動力系におけるねじり振動のモデル化

Kare Jonsson

AB Volvo Penta社

 

要 約

本論文では、数カ所に連結部と分岐部を備えた舶用動力系における定常ねじり振動のモデル化方法と解析方法について検討する。今日、舶用デイーゼル・エンジンの軽量化やコンパクト化および出力増大に対する要求が高まるに伴い、各種振動系自体もねじり振動にますます感応しやすくなってきている。エンジンのクランク軸におけるねじり振動を削減化するために、多種多様のダンパーも研究されている。

舶用駆動系のねじり振動解析においては、エンジン回転不規則性とプロペラ励振を無視できないことが、実施した解析から明らかになった。こうした面でのエンジン回転不規則性は、あるエンジンのシリンダ圧に確率的変動が生した場合に発生する現象である。

 

序 説

近年は、プレーニング船の性能向上に対する要求が着実に高まってきている。最高速度を高めるには、船体と船舶推進システムの軽量化が不可欠である。舶用デイーゼル・エンジンの軽量化、燃費向上、騒音・振動レベルの低減化を図ると、エンジンに対する要求事項も一層厳しくなる。こうした厳しい要求を満たすためには、強力なディーゼル・エンジン用過給機(および給気冷却装置)を装備する他、動力系全体の軽量化とフライホイールの質量削減化を図る必要がある。

エンジンのクランク軸や動力系におけるその他シャフトのねじり剛性は比較的低い。デイーゼル・エンジンに強力な過給機を装備すると、給気圧、平均圧、最高圧が高くなるので、励振トルクをますます高め、動力系における不整度を一層高める原因となる。

その結果、最新型の船舶用動力系は、ねじり振動にますます感応しやすくなってきている。また、純機械的応力が増大する他に、ギアのがたつき、騒音・振動問題といったリスクが実際に生じている。そのため、エンジンや動力系の設計段階においてねじり振動現象を正確に解析する必要も生じている。本論文では、この種の問題を極めて正確に解析処理する方法について概説する。ここで紹介する解析方法は、各種の舶用デイーゼル・エンジンと動力系における測定を通して検証されたものである。

本論文の主要部は4章からなる。第1章では、数カ所に質量要素、連結点、分岐部を備えた各種軸系における定常的ねじり振動の解析方法について概説する。こうした解析方法は、Volvo Penta社が開発したねじり振動向けコンピュータ・プログラム(TORVIB)にも採用されている。そのため、このプログラムが開発された背景についても若干述べる必要がある。第2章では、エンジン・クランク軸におけるねじり振動を算定する計算モデ

 

 

 

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