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上にまでその疲労を持ち越し、人的能率を低下させる原因ともなりかねない。モデル開発の第1段階ではまず行動方針案を作成したが、やがてモデル自体が大きくなり、値のわからないパラメータが余りにも多く必要になった。その後、見直しと検討を重ねた結果、もっと簡単なモデルを設計した。だが、感度の高すぎるいくつかの入力パラメータを下手に定義したために生じた問題を解消するには、モデルの構造を見直す必要がなおある。リスク研究所でも指摘しているように、「船舶安全分析は、道路、航空路、鉄道の安全性に比べ非常に複雑である。それは、主として船舶の航跡が鉄道のように固定していないからである」

 

6.結 論

TNSSは、意思決定を行う船舶専門家を支援するツールとして大成功を収める見込みがある。船舶リスクを空間表示するためのデータ集計方法と同様、過去の船舶リスク・データに対する地理的インターフェースもすでに開発されている。航法リスク・モデルは当初の予想に反してかなり問題があることも明らかになったが、その基本原理は確立している。

氷原における安全速度の検討は、氷原ルート選定最適化ツールまたは単なる氷原分析ツールの開発に導入すべき重要事項になりえよう。各氷塊タイプ別頻度を付記したベクトル表記の処理ずみ氷塊分析図を航行中の船舶に迅速に伝送できるので、船上では北極海全体の氷決定値を数秒で処理できる。各航跡ごとに出力される安全速度は、ETASの改訂に役に立つだろう。つまり、危険な氷原領域では高分解能の氷原データが必要になる。さらに、諸問題を予測するために、ナビケータを装備する方がよい。

既製のデスクトップ型GIS(地理情報システム)と目的指向型高速アプリケーンョン開発ツールを採用すれば、C++を使用する同一原型機の開発に比べ大幅な時間の節約になる。さらに、本原型機の頑丈さは、MapInfoやVisual Basicという開発プラットフォームの頑丈さによるものである。

 

キーワード

1. リスク分析

2. 安全性

3. 氷原航法

4. 衝突回避

5. 座礁

 

 

 

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