に比べ、主機Azipod装備の船舶の方が方向回転能力がはるかに優れていることも明らかになっている。そのため、停泊運転時には、Azipodの方がトラバース・スラスト能力が高い。また、ポッド格納プロペラからは、高い運転効率も得られる。
在来型電気式ディーゼル主機に比べたAzipod主機のメリットは、KMYによると次の点にある。
* 在来型主機用エンジンに使用したスペースを他の用途向けに使用できる。
* 在来型操舵システムに比べ、ステアリング能力がはるかに高い。非ポッド格納型主機の支持に必要な船尾スラスターも、ラダーやシャフトラインも不要になる。
* 方向転換能力と後進航行時のステアリングが優れている。
* 在来型電動方式から得られる低ノイズ特性を一層高めることができる。
* 駆動装置と原動機を物理的に直接連結する必要がないので、船舶設計者が自由に創造力を発揮できる。
* Azipod主機は、実際上オイル漏れの恐れがなく、環境にやさしい。
* けん引型プロペラは優れた伴流界内で作動するので、プロペラにより誘発される船体の励振は
非常に小さい。
ディーゼル・エンジンへの挑戦
現在は、中速度用ディーゼル・エンジンが客船用エンジン市場に君臨しているが、その王座も21世紀には航空エンジンから開発されたガスタービン・エンジンの挑戦を受けるようになろう。この新型エンジンは現世代のエンジンに比べ燃料効率が著しく高い。
Carnival Cruise Line社の“Fantasy"級第7号及び第8号船建造計画に参画した同社の技術コンサルタントや、Fincantieri社に大型船2隻の建造を発注したDisney Cruise Line社も、ガスタービンについて真剣に検討した。しかし、重油燃料(ディーゼル・エンジン用)とさらに高価な舶用ディーゼル油(ガスタービン用)のコスト差問題が影響して、電気式ディーゼル・エンジン採用に落ち着いたと伝えられている。
ガスタービン主機の一般的利点としては、コンパクト設計(空いた機器スペースは収益目的に利用できる)、騒音と振動の低減化、保守費の削減化と予備部品の所要量低下、環境にやさしい、機関室要員の削減化などが挙げられている。
ガスタービン技術の進歩により、今日の単サイクル主機は40%を超える効率で運転されているが、21世紀の初期からは60%を超える定格でもっと複雑なサイクルを利用できる見通しもある。現行の研究開発計画では、燃料費の削減化と部分負荷の経済性向上を目指している。
燃料消費量の削減化
General Electric社とRolls-Royce社が現在開発中の中間冷却回収(ICR)型ガスタービンは、特定燃料の消費量を船舶用大型ディーゼル・エンジンの非常に平坦な特性曲線に近づけることで、航空用エンジン系ガスタービンを商用船舶用主機に利用できるチャンスも拡大しよう。船舶に対する環