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ス・ブロックには、熱交換器と注油口、さらに保守作業を簡単に行える海水と燃料の供給口が内蔵されている。各機関には24Vの非常用発電機が装備されている。2000シリーズにはエア.スターターを取り付けることもできる。4000シリーズでは、シリンダー内の空気をバックアップ用に使用する。1,500回転/分と1,800回転/分の発電用機関は、その他すべての機種と一緒に1997年11月に発売される。Detroit Diesel社の2000シリーズ機種は、来年上半期に米国で発売される。

 

電子部品問題

Caterpillar社にとっては、電子部品も課題となっている。同社では独自の電子制御機関を開発し、船級協会の認可も得ているが、現在はCD-ROMの情報パッケージを導入しようとしている。

3500シリーズの機関は、各船級協会の認可を得て定格出力を高め、燃料噴射システムを電子制御方式に切り替えている。また、10.3リッターの3176B型機は電子処理機能を備えている。この機種は2,300回転/分において448kW(608bhp)の定格出力を有し、出力/重量比は2.5 kg/kWとなる。3412C型という3412型機関の高出力機は、現在2,300回転/分において970kW(1,318bhp)の出力を出せる。電子制御の利点の一つは、機関を数基設置しても、出力を整合できる点にある。2線式データ・リンクが複数の機関と機関室の間であらゆる情報を伝送する。

非電子化機関として最近発売された7.2リッターの3126型機関は、エンジンルームは6.6リッターの3116型機関と同じ大きさだが、出力は52kW(71bhp)ほど高い。その最高定格出力は313kW(426bhp)で、出力/重量比は2.3 kg/kWとなる。また、2,600回転/分において119kW(162bhp)の出力を出せる補助PTOが装備されている。

最近、設計者の間で注目の的となっているのは、"Cat Marine Power Pro"というCD-ROMのマルチメディア情報パッケージだ。このパッケージには、機関の仕様書と自動CAD設計図に関するデータが格納されているので、船舶建造計画にも簡単に組み込める。さらに、設置説明書、ディーラー所在地、金融サービス、視聴覚資料やビデオ資料なども格納されている。

昨年、11リッター型機関を改良したScania社では、同社の9リッター型機関と14リッター型機関にも目を向けている。8気筒14リッターのV形機関も今や、吸気装置に改良を加えたおかげで仕様出力を550kW(750bhp)まで引き上げた。複式水冷ターボ過給装置は、3段式中間冷却装置を通して圧縮空気を送り込む。圧縮空気は海水中間冷却装置を通って複式清水中間冷却装置(各バンクに1基)に達し、さらにチェンバに入る。機関の冷却系統に対する改良点としては、2区画に分かれたアルミニウム製熱交換器がある。これにより機関は50kgほど軽量化される。

 

排出基準

Scania社の9リッター型機関は、排気量が(公称8.5リッターに代わり)実質的な9リッターにまで増大され、その出力も今や最高331kW(450bhp)に達しているが、その全長は55mmほど縮小している。発電用の中間冷却式DSC9型機は、最高予備定格出力が300kVAに達している。こうした新型機関はすべて、ドイツのTA-Luftのような排出基準にも適合している。

 

 

 

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