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HRSGへの2相フィード

ガスタービンの排気熱回収にはsub-critical once-through設計ボイラが使用される。管内で発生する水蒸気蒸留過程は水素に富んだ燃料を生成するための触媒部分酸化用の理想的なフィードを生じるばかりでなく、水だけを利用する場合よりも熱力学的利点を有する。水と炭化水素とは混合することができず、各フェーズはそれ自体の独立した蒸気圧を発揮する。管内の流れの温度が上昇すると、純水または蒸留液の場合よりも著しく低い温度で、水蒸気と蒸留蒸気とが形成される。純水の場合とちがって、流体混合の温度は蒸発過程全体を通じて上昇し続ける。通常は水蒸気と一緒に見られる「ピンチポイント」制約が著しく減る。したがって、2相フィードは蒸留流れを使って排気熱の一部を回復し、スタックガス内の潜在的な熱損失の削減で実現される熱力学的な利点を提供する(図2参照)。

 

ガスタービン排気熱の多圧力・熱回収

通常は、熱回収蒸気発生器は1ないし3つの圧力レベルで作動でき、そして、組合せサイクルの場合は、HP蒸気タービンの排気蒸気はIP蒸気タービンへ行くまえに再加熱される。多圧力(及び飽和温度)のレベルは、ガスタービン排気流から最大の熱量が除去され、したがってスタック温度を下げ、そしてHRSGを出ていく3つの蒸気温度アプローチ(排気ガスへの)を下げることを可能にする。水蒸気再熱器が熱を回収するためにHRSGによって要求される全体の水流を減らす。水蒸気が潜熱とともにスタック温度を上げたままにするときに(蒸気タービン排気流が凝縮される組合せサイクル内で、または水蒸気噴射ガスタービン・サイクル内で)、再熱器は水の潜熱に関連するサイクル損失を有効に減らす。水蒸気噴射式ガスタービンと一緒に使用されるとき、多圧力HRSGの下流側では2つの低圧力レベル(IPとLP)に関連する2つの水蒸気流が一次ガスタービン燃焼室へ入るに十分な圧力を有さない。超効率的な多圧力HRSG内で発生する全水蒸気の約10ないし20%が最適位置よりも小さいサイクル内のホーム(すなわち、高温度ガスタービン燃焼室以外)を見付けださねばならない。

提案される計画では効率的な多圧力ボイラー内で全ての水蒸気がガスタービン燃焼室へ行けるよう圧力が高められる:1)高圧力水蒸気が燃焼室へ入るために必要な圧力をはるかに超過する圧力まで高められ、2)中間圧力水蒸気が燃焼室へ入るために必要な圧力まで高められ、そして3)低圧力水蒸気が熱の回収を最大化するよう設計された圧力へ高められる。高、低圧力の蒸気流を燃焼室へ入るために必要な圧力へ組合せるために2つのオプションが利用可能である。3つの流れを組合せて、全ての流れを燃焼室圧力でのサイクルへ利用可能にするために、効率的な単一軸蒸気タービンと蒸気燃焼室の配置、または運動部品のない低効率の熱コンプレッサが使用できる。

提案される、最先端化されたサイクルにおいては、熱回収装置への流体フィードは炭化水素(蒸留液)と水とで構成される2相フィードである。2相フィードの熱力学的な利点は前項で説明済みの多圧力熱回収及び蒸気圧縮と組み合わされる。

 

 

 

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