7.循環水の回収
すでに述べたように、水蒸気噴射式ガスタービンは最高品質に近い処理された清浄水を必要とする。場所によっては、この水は高価であったり、源水の人手性や品質が不都合である場合は禁止されたりもする。例えば、シベリアの諸川の水から蒸留された水に浮かぶ船は、清浄水にかかる費用が最低で済むであろう。皮肉にも、海洋航行のはじめから、全ての洋上船舶は人と機械との両方へきわめて重要な適正品質の水のためには値段を無視した支払を必要とした。
最先端化されたガスタービンにおいて、熱と水との両方を回収する技術とオプションとは経済性を物差しとして評価される。サイクルによって要求される超品質水の全てがスタックガス流の中に含まれるので、それ以上は最初に可能な代替え水源を探し求める必要はない。もしこの清浄水の源が経済的に存続可能であれば、水蒸気噴射式ガスタービンの動力装置は陸上でも海上でも適所へ位置決めできる。水を回収するいくつかの方法どうしで多くの明白な交換条件が存在する。それらの全てが本論文の範囲を超える。他方で、スタックガス内で凝縮が発生することへの物理的な要求は少しもあいまいでなく、成就性に関して容易に識別され、評価される。
水蒸気噴射式ガスタービン内のスタックガス体積の約3分の1は水蒸気である。水蒸気の分圧は大気圧の1/3であり、露点は約161°Fであると見られる。スタックガスをさらに約101°Fまで冷やすと、必要な循環清浄水の全てを凝縮させるであろう。冷却に海水を使用するチタン管表面コンデンサは1つの解決策である。「ドライ」冷却タワーは別の解決策である。3番目は冷水または冷蔵水接触コンデンサである。(図及び図5参照)。凝縮水の品質はどうか?最初の概算として、最悪の場合でも、燃料の全硫黄分は硫酸として凝縮液内にある。蒸留液内の約1/4%硫黄で、凝縮液は約445ppm硫黄となるであろう。アニオン・ベッドとポリッシング・ベッド脱イオン器を通過する経路が、水をほぼ給水状態へ回復させるはずである。代わりに、硫酸は中和されることが可能であり、硫酸バリウムのような高度に不溶性(約1ppm)かつ濾過性の沈殿物を形成して、脱イオン器を無効にする。海上でどんな水回収処理が保証されるか? 陸上の装置で有効に働くことという最初の要求事項には合致した。
噴射された水の回収付き、蒸気噴射式ガスタービンを使用する最初の陸上用装置は1993年1月にイタリーのTurin近くで運用開始された。その装置の設計と作動の特徴は1994 ASME文書94-GT-17に詳細記載されている(Ennio MacchiとAurelio Poggio両氏により1994年6月にハーグへ提出された)。この装置内で、凝縮の潜熱が回収され、熱電併給モードで使用されるための補足かつ複雑なステップが取られる。この装置は洋上船舶用にも使用可能である。他の船上エネルギーのニーズ、空間暖房、及び熱水は類似した方法で適合できる。
洋上船舶用に指定される最先端ガスタービン
洋上作動用に保証できるガスタービンの性能を向上させるために利用可能なオプションの見直しから、最先端ガスタービンとして以下のサイクルが提案される。