3.水蒸気噴射
排気内の熱を回収するために復熱器が使用されるようになるまで、ガスタービン性能を向上させる別の方法として動力タービン入口でのガスの流量を増せば有効であることがかなり以前からわかっていた。とりわけ、空気以外の気体がコンプレッサ作業を必要としない場合は、水蒸気がそうした気体である。ガスタービン性能を増すために、ガスタービンリ排気から生じた水蒸気を燃焼室内へと噴射することが長らく使用されてきた。サージの設計余裕を保つために、ガスタービンのメーカーは水蒸気の噴射許容量を基本負荷で流入空気の約5%へ制限する場合が多い。ブレードを「再スタガー」することにより1番目のベーン絞り寸法が増大される場合は、サージ限度が増大可能である。タービンが再設計されれば、水蒸気のいかなる量も注入可能である。
水蒸気はNOx制御のためにしばしば使用される。例えば、2350°Fの発火温度からNOxを42ppmvまで減らすためには空気流の約2.8パーセントの水蒸気流が必要である。この温度レベルにおいては、進歩した航空機派生ガスタービンの燃焼室へ等分ずつ噴射される水蒸気は正味動力の発生で見て、空気より約3.5倍以上有効であるくすなわち、5%水蒸気流は動力出力を約17.5%だけ増大させる)。空気流の5%の割合の水蒸気噴射において蒸気・対・燃料比は約2.5/1である。ガスタービンへ噴射される水蒸気により生じる仕事は蒸気タービン内の水蒸気で生じる仕事をはるかに超過できる。2つのタービン流入蒸気の温度の差は1500°Fを超過できる。水蒸気を噴射されるガスタービンは毎時6ないし10ポンドの蒸気噴射で1kWの動力を生じるであろう。
水蒸気噴射式ガスタービン(Chengサイクルという)は複合サイクルではない。本質的に、水蒸気噴射式ガスタービン装置の2つの主要な構成部品は、1)ガスタービンと、2)熱回収蒸気発生器(HRSG)である。HRSGの信頼性や利用可能性(とりわけ運動機構部品がほとんどないsubcriticalonce-through設計の)の係数は1.000に近いことが証明された。これは、装置の全体利用可能性がガスタービンの利用可能性(0.96ないし0.98)によってほとんど全面的に設定されることを、そして同じガスタービンを使用してこの全体利用可能性を超える他の動力装置の配置が期待できることを意味する。
HRSGの投資コストはサイジング・パラメータを与えられる精密商品の調達と同じ程度である。
部分負荷効率についてはどうか? 船舶推進用ガスタービンの経済的な作動の重要な特徴は、すでに述べたように、部分負荷での熱効率を維持することである。1994年春号のCogeneration and Competitive Power Journalの中の論文でStanley C. Keller氏(GE Evandale Marketing Department)は水蒸気噴射がこの基本的な要求にかなうすぐれた方法をもたらすことを次のように示唆した。「水蒸気噴射はまた部分負荷効率をも改善する。単一軸ガスタービンでは負荷が減ると通常は効率が悪くなるが、水蒸気噴射を使えば蒸気が必要燃料に取って代り、部分負荷の効率を向上できる。」
Chengサイクルは約15年間商用オペレーションであり続け、数百万時間の作動時間に達した。GE社の水蒸気噴射の航空機派生装置が世界中で約8年間作動してきた。これらのガスタービンは無人設備でのユーティリティ作動に提案されてきた。水蒸気噴射の、そしてsubcritical once-thr-