吐出空気の向流(加熱後に、燃焼室へ流れる)を使った復熱器(排気ガスと圧縮空気との間の熱交換器)を使用する。WR21はスタック温度を全負荷で約672°Fへ、部分負荷で521°F下げることができる。インタークーラーなしでは、高圧空気温度は 全負荷ガスタービン排気温度の著しい低減を許さないであろう。LM2500Rでは、スタック温度を低下させるには部分負荷でのみ有効である。しかしながら、もし高圧コンプレッサを出る空気をそれが復熱器へ入る前に冷却できるならば、復熱器からはるかに大きい利得を得ることができる。
高圧熱交換器(HPQX)、新たな性能向上オプション
新たな熱交換器はコンプレッサ吐出と復熱器との間へ持ち込まれる。高圧シェルとチューブで構成された熱交換器が高圧コンプレッサ吐出空気を冷却する。これはフィン付きチューブを横切る熱い空気の流れを使って達成される。チューブには蒸留液と水との2相液体(当初は環境温度である)が空気流れに対する向流として封じこまれる。圧縮された空気とチューブコイルとは圧力容器シェル内部に納められる。水/蒸留液の管内の流れは気化され、過熱され、そしてガス混合物がコンプレッサ吐出温度にごく近い温度で熱交換器を出て、回収された熱はそれからサイクルへ戻される。
併行して、シェル側の圧縮された高温の空気は制限「ピンチポイント」(2つの逆流の温度特性での最接近点)によって設定される低温に冷却される。低温空気は高圧熱交換器を出て、200°Fより低温で復熱器への配管で運ばれる。舶用ガスタービンは利用可能な冷却能力を全面的に利用できる。代替えとして、熱交換器のアフターチューブ部内の冷たい海水流を使って空気はさらに冷やされる(空気の露点まで)ことができる。圧縮空気の温度が下げられ、そして捨てられた熱は復熱器内でスタック温度の約1度低下を生じ、かつ等量の熱の回収を生じる。この追加冷却は最良でも損益なしの案に過ぎないように見えるが、全サイクルを見るときは、期待されるよりも一層著しいことが示されるであろう。高圧でのHPQXは大気圧でのHRSGよりもタービン排気を冷却するための費用、重量、体積を一層有効にすると信じられている。高度に有効な復熱器もまた排気ガスの温度をほぼ露点まで下げると期待される。
サイクルが現在は捨てている低度の熱を復熱するためのオプション
高圧熱交換器は、海水アフタークーラーを使って圧縮空気温度を200°F以下へまたは周囲温度近くへ低下させる。この極低温の圧縮空気はタービン高温部用の冷却剤の選択にかかっている。この交換器は、より少ないコンプレッサ吹出し空気の間で分配できたり、発火温度を上昇させる、性能分配を生み出す。冷却空気源は非常に熱い金属表面に対して「冷えすぎ」か、少なくともに最適条件より低いとみなされる。この「冷えすぎ」冷却剤用の予熱溶液が存在する。これは、サイクルが通常は捨ててしまう低度の熱を復熱できるようにするためである。
ベアリング内の熱損失や、ガスタービンシャフトのスピードを約10,000rpmからプロペラの約100rpmへと減速するときに発生する非常に大きい熱量が潤滑油で運ばれる。もし、ガスタービンが発電機を駆動させる場合は、「銅損」で発生した熱や、変圧器内の「鉄損」で生じた熱は、ともに高熱熱交換器から発生する冷たい圧縮空気によってサイクルへ復熱させるに好適である。冷たい空気は予熱されて、タービン冷却剤としての利用に最適になる。