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5.洋上船舶用の最先端ガスタービン

Jack Janes, P.E.

カリフォルニア・エネルギー委員会

1516 9th street Sacramento,Calif. 95814

 

要 旨

ガスタービンはその性能向上によって、燃料を動力に変換する手段として世界中で注目を浴びている。その供給する動力と効率性によってガスタービンは、空の、そしてさらには陸上や洋上での優れた原動機として使用されるに足るものとなっている。この論文では、船舶用に提案されるガスタービンの全潜在能力(ガス発生機外部に利用可能なエンジニアリング・オプションの使用により最先端化される潜在能力)を探求する。最先端用のオプションとしては:1)インタークーラー、2)復熱器、3)水蒸気噴射器、4)再熱器、5)閉ループ冷却器、6)触媒部分酸化、7)水回収がある。研究されたオプションのうちで、再熱器はユニークなアプローチに関わる。再熱器は新たな簡単化された技術を使って達成されるよう要求される。自然燃焼性の水素に富んだ燃料は冷却経路を通じ、そして低圧タービンのブレードやベーンの後縁から空気経路内へ噴射され、自由出力タービン内へ入る前に空気を再加熱する。

 

海洋交通手段の変遷

航海者は長年にわたって海洋表面のポイントAからポイントBへ行く「最適手段」を探し続けてきた。はじめはオールが唯一の手段であり、数世紀にわたってオールに頼る時代が続いた。その発展形が、船舶工学の驚異であるローマ帝国や中国の数百人乗りのガレー船であった。やがて先見の明がある開発計画により帆の導入と、それに適切な布の開発が行われた。風力と帆とには多くの短所があるにもかかわらず、それは次第に世界中の海軍でその位置を確立した。そして、帆布の開発とともに、次の1千年間にわたって海洋探険や輸送の「最適な手段」になった。またオールは「最適な手段」の市場内でのある地位を保持した。2世紀前にジェームスワットが陸上用の石炭ボイラー/往復式蒸気機関サイクルを発明した。多くの制約、必要な適合性、煩わしい燃料供給があるにもかかわらず、1世紀後には蒸気機関が、そしてその世紀の後半にはド・ラバルの蒸気タービンが船舶推進のすぐれた手段となり帆は凋落した。前世紀には、ルドルフ・ディーゼルが新たな石油燃焼往復機関を導入した。その時、ディーゼル氏はそれが移動装置へ適用されることはないであろうと言ったが、開発品はそうでないことを証明し、この機関は海上での広い用途へ行き渡った。ガスタービン(非往復複式機関)は今世紀の始めにハンス・ホルツウオルツにより発明され、その後に航空機用として重用されるようになった。これらが進歩した航空機エンジンはその用途を陸上、海上にも広げつつある。こうした歴史が、改良への追求には衰えがないことを示している。現在の空中/陸上の用途からの転用、改良に高い成功をみたガスタービンが、航海者にとって最新の「最適手段」となることは当然の趨勢である。

 

 

 

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