時代はめぐって行く。ハイテク造船諸国での最近の調査によれば、基本的な傾向として商船と艦艇の両方で将来の乗組員数の劇的な減少が示されている。
無人化船は目の前に来ている。全てのアプローチが人工知能、とりわけエキスパート・システムを、この進取的な目標を達成するための鍵であると見ている。無人化船による運送は討議の段階にある[1]。そうした船舶が来年中にやってくることは見込み薄であるが、それは単に経済や社会的な状況のためのみではない。
経済的な状況は、経験的に、技術的な開発に対する確かな障害とはならない。例えばIBMは「コンピュータ技術は経済的な面から見て誰にでも価値があるわけではない」から「将来性はPCの在庫にかかっている」へとその所信を変更する過程で巨額の金を失った。コンテナー輸送の急激な増大とboxratesの低減とは同時に進行中である。このことが合理化手段への圧力を生じており、もし無人化船が前途に存在する場合は、より一層大きな合理化への圧力となるであろう。
社会的な面とは? 社会的な面は経済的な開発にたいする実際障害ではなかった。さらに、もし将来も船長が船上に留まり、3つの蹴球場の広さがコンテナで満載された船の上で高度の教育、訓練を受けた船長が孤独に計器を注視して、そしてただ彼の船主のオフィスからの新しい指令を待っているだけという状況がくるとしたら、そのときは社会的な問題について話し合わねばならない。
もちろん、これは必ずしも将来のことではなく、現在の討論からもうかがえるものである。自動化船を安全に運航すること、船上の作業を減したり、新たな作業を創造することが可能である。もちろん「船乗り」のイメージが一変することは言うまでもない。専門的職業であるという過去のイメージのみにこだわる者だけがビジネスの範疇を外れるであろう。伝統主義のクラブメンバー風な船員組合員たち、及び古い「事大主義」の船長クラブは、かれらが知的なアドバイスを次世代へ与えるときに、または少なくとも立法団体へ働きかけるときに、この自明の理を心に持ち続けるべきである。彼らは次世代を全世界的な発展から遮断している。
現在の技術的な討議
無人化船はさまざまな出版物[2]のさまざまなアプローチで討議されてきた。基本的な技術概念は以下のようにまとめられる:
陸上船長の概念
制御システムは陸上へ移される。船は大幅に自動制御化され推進装置と、陸上から受け取った制御信号の受信、伝送、復調に必要な、そして船上システムの監視に必要な装置のみを保有する。
キャプテン・コンピュータの概念
船舶には、「人工知能(AI)」を使用して全てのタスクを自動的に実施するために充分なハードウエアとソフトウエアが設けられる。実用上、ローカル制御とリモート制御との混合が、通信リンクが切れるか、ローカルシステムが故障した場合の重要なシステムの冗長とともに、使用される。そうしたシステムが埠頭から埠頭への航海の全ての状態へ対処できる場合であっても、いくつかの問題が未解決で残る。そうした問題には故障装置の修理と、海賊行為が含まれる。