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執筆者は、たいていの流体システムの、とりわけ海水システムにおいての負荷と腐食/磨耗環境へ充分に耐え得る回転子磁石/ベーンの開発への挑戦を強調している。この技術の開発で取り扱われねばならないいくつかの追加事項は:

■適切な回転子ベアリングの編入。これらのベアリングは、処理流体で潤滑される流体動力学タイプもしくは流体静力学タイプでよいが、より一層論理的な開発は海軍用や民間用のさまざまな用途に現在開発されつつある永久磁石タイプの設計となるであろう。

■流体摩擦引摺りの制御。臨界の電気ギャップ内の処理流体による損失が正確に見積もられることを保証するように特別な注意が払われねばならない。全体効率の著しい不利も低速機械では避けやすいが、回転数や先端速度の大きい設計では避けがたい。

■電気機械的騒音源の制御。磁石どうしの間隔が大きいと、音響スペクトル内に回転高調波が発生するので、この技術の適用時に考慮される必要がある。

結論として、重量/体積、騒音、信頼性、及び安全特性が非常に重大である低速度ポンプの適用においてこの概念には大きな関心が寄せられる。生産量が開発費用を相殺するに充分なほど大きいことを前提条件として、全体的な費用節減が実現されるべきである。ブレードや回転子の潜在的な構造上の問題は、適切な被覆材料や製作技術を開発することにより、克服可能となるはずである。

 

Robert C.Smith(コード811)

蓄電池電流への磁束密度の影響についての説明は誤解を生じる。蓄電池電流は磁束強度によってまたは巻数によって変えることができる。しかしながら、所定の速度での必要な動力は要求される負荷トルク次第であるため、蓄電池電流の減少は蓄電池電圧をその分だけ増大することによって相殺される。高磁束密度磁石を使用することの真の長所は、可能な小型、軽量な磁石を使って希望する磁束を発生できることにある。

単一な回転子「ブレード」上に2つの向き合う極を組込むことは潜在的な磁束漏れ経路を生じることになる。この漏れを最小にするためには、回転子と固定子間のEMギャップより大きい非磁気ギャップをセグメント間へ設けることが必要になるかもしれない。こうすれば、SARを一層減らせるであろう。

執筆者は回転子磁石用の保持板の伝導性に触れるべきではない。回転子は固定子界磁と同期運動するので、磁石やカバープレートは基本の界磁によって切られない。高位の界磁からの磁束のみが回転子を切り、伝導性のカバープレートがシールドとして働き、磁石を渦電流発熱から防止する。

モータEMの効率は従来設計(従来形PM機械のhigh 80sまたはlow 90sに代わって73%)に比較して小さい。これは「概念の立証」設計であると認識されるが、そうした設計はインペラの水力学的性能と回転子の電磁気性能との両方の妥協処理を必要としやすい。執筆者は電磁気的に最適化された回転子を水力学的に最適化されたインペラへ取り付ける中間的なアプローチを考慮すべきである。このアプローチが回転子の寸法、重量を増すであろうことには疑いないが、それはシステム効率を劇的に改善するかもしれない。それはまた、汲み上げられた流体を使用するモータ冷却、単純化された振動

 

 

 

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