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隔離、ならびにシャフトと回転シールの除去、などの長所を維持する。

 

執筆者からの回答

この論文に対する論評として貴重なご意見をいただいたSmith氏とSticker氏とへ感謝します。最初にSmith氏から寄せられた4つの主要点についてお答えします。

第1点は高エネルギー密度永久磁石を使用することの主要な利点に関してです。それらの磁石を使用する主要な理由が高い動力密度が可能になるそれらのコンパクト性にあるという点で執筆者はSmith氏へ同意します。

2番目の論評は単一な回転子ブレード/ベーン上へ2極セクターを有することの不利益についてです。執筆者はもし極セクター間の適当なギャップが維持されない場合、結果として生じる極間の磁束漏れが許容できない損失を生じるであろうというご意見に同意します。もしギャップが大きすぎる場合は、SARが減少、それに伴い効率が下がります。各ベーンが単極セクタである(したがって磁束漏れ経路が除去される)構成も考察しましたが、結局は却下しました:固定子の製造と巻線が2セクター構成の場合よりも困難になる。と思われます。執筆者の分析では極間のギャップの影響については考慮しませんでした。最適なギャップを決定することは今後の研究の主題とするに値します。

3番目の点は回転子磁石保持板に関係します。これらの保持板が回転子PMを高調和で時間変動する磁界により生じる渦電流発熱からシールドするであろうという点でSmith氏のご指摘は正当です。

最後に、Smith氏は予測されるモータ効率が他の高効率なPMモータ設計と比較して低いことを指摘しています。この違いの理由の1つはPM材の選択にあります。空中磁束密度0.2テスラを有する磁石を得るために粉末化されたPM材をエポキシ樹脂と混合しました(60%PMと40%エポキシ樹脂)。これは0.6テスラへ達することができる焼結PMに匹敵します。エポキシ樹脂磁石が焼結品に勝る点は任意形状が低コストで製造できることです。焼結品に替えるとすれば、従来形PMモータに比べてモータ効率は73%から86%へと増大できます。より一層強力な磁石を使用する完全な研究を近々に実施するつもりです。

Sticker氏からの論評へ感謝いたします。氏は統合モータ/ポンプ・インペラのケースをうまく要約し、従来設計に勝る長所の具体的な例を、運転上の安全性を含めて示しておられます。

Sticker氏はまた、構想された二重吸引ポンプの代わりに非伝導性の充填材を使う単一吸引ポンプを使用することが好都合なケースをも示しておられます。この構造は試作品で考慮いたします。執筆者の意図するところは全体効率が従来設計と同等またはそれ以上である「概念の立証」設計を創造することにあります。このタイプの統合回転子/インペラについてさらに研究を進めることにより、一層効率的な構造が生まれるでしょう。

Sticker氏は実用的製作の争点を適切に取り上げておられます。ベアリングの選択や流体摩擦引摺りの制御は、試作品の設計時に取り扱うことにします。電気機械的騒音を縮小させることは設計(固定子のゆがみ(skewing)やよろめき(staggering))と運転(coggingトルクや軸力変動を最小にするためのエネルギー波形の実際制御)の両面で、進行中の調査の主題となっています。

ここに論じた統合モータ/ポンプのように多くの学問分野が関わる新たな設計が構想されるときは、可能なかぎり広い範囲からの入力情報を受け入れることが最良の方途です。執筆者はモータ、ポンプ、材料設計関係者からの多大なご支援に感謝いたします。

 

 

 

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