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統合モータ/ポンプ・システム

従来の高出力密度モータにおいては、廃熱は(1)固定子電流巻線損失(I2R)、ならびに(2)モータ内の渦電流やヒステリシス電力損失から発生する。この廃熱の管理は効率的なモータを設計する上での重大な課題である。たいていの場合、発生した熱(損失)を除去するために分離型の冷却装置が設けられ、これが振動/騒音を引き起こすとともに貴重なスペースを占有することとなる。

提案される統合モータ/ポンプ・システム(図2)は軸界磁、PMモーターを遠心ポンプと組合せることにより、従来設計の短所を除去すると考えられる。モータの固定子が、ポンプが汲み出している液体へ接近しているので、高出力密度用途に補助的なモータ冷却装置を必要としないため、必要なスペースが減らされる。加えて、統合モータ/ポンプ概念は主だった故障源となりやすい別途の継手要素(リンケージとベアリング)を除去する。モータ/ポンプ・セットを他のコンポーネントの振動から隔離することは簡単である。一言でいえば、システムコンポーネントの数を減らせば製造コストを下げ、故障の潜在的根源を除き、信頼性を向上させることができる。

 

軸界磁、ブラッシュレス、永久磁石モータ技術

電気モータは磁界結合を使って電気エネルギーを機械的エネルギーへ変換する、よく知られた電磁気機器である。電気モータは2つの主要構成品:(1)電流巻線またはPMs付き固定子と(2)回転子(追加の電流巻線または付属PMsによって作られる磁界を供給する)とからなる。基本的なモータ動作は回転子と固定子界磁との間の相互作用によって生じる。固定子巻線と回転子PMsによって発生する電磁力は、簡易化されたローレンツ力の式を使って説明できる:

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Tはトルク、rは半径距離(モーメントアーム長さ)である。式(1)と(2)とから、 トルクを増大させるためには以下の3つの方法がある。(1)固定子巻線内の電流密度(J)を増す、(2)回転子PMs内の磁束密度(B)を増す、または(3)1と2との両方を増すことである。主たるエネルギー源として主に蓄電池で作動される潜水艦艇用途としては、固定子巻線の電流を大きくするよりも回転子内にエネルギー密度の大きいPMsを使用する方がベターである。

モータ固定子巻線内へ超伝導巻線材料が使用されないかぎり、電流巻線には常に導通損失(I2R)が存在する。そのことが、なぜ高エネルギー密度のPM技術が高出力密度PMモータの開発推進の主体となってきたかの理由づけとなる。

一般的に使われている2つの主だったモータ形状は、(1)放射状界磁(円筒形状)と(2)軸界磁(円盤形状)とである。

軸界磁、ブラッシュレス、PMモータの詳細については既出の論文(Cho,1992年とFusselll,1993年)に任せるとして、ここでは簡単な記述のみにとどめる。基本的に3種類の軸界磁モータ形状が存在す

 

 

 

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