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ロジェクトの目的は、容易に接続できて所期の疲労条件を満たす軽量のライザーの継ぎ手を設計し、その実用性を証明する事である。その為特殊なネジ継ぎ手が、トラップロック取合い形状と共に採用された。

 

設計の特徴;12-3/4in 94.20lbs/ft Hydril MAC-?型鋼製ネジ継ぎ手が、10-3/4in CPR用として特別に設計された。それは汎用のケージシグハンドリング装置で取り扱い/組立てが出来る様に、最も小さく軽い継ぎ手形状である。鋼製のライザー継ぎ手1個当たりの重量は(複合材管とのトラップロック取り合い部も含めて)約440lbsである。

MAC-?のネジ(図6)はボックス構造に組み込まれるピン形状となっており、非常に高い疲労寿命を持った高強度のネジとされている。内部と外部の金属接触シール採用で容易に組み立てが出来る事や、確実な固縛トルクを与える為の逆傾斜の肩部を中間に持つ事などが特徴である。このデザインが複合材と金属材の取り合い形状に採用され、新しい12-3/4in MAC-?構造様式が出来上がった。

ピンとボックスの継ぎ手の外部寸法はショルダー部を含めて図7に示す通りで、この寸法は工業規格に合ったパワートングやサイドドアエレベーターで継ぎ手の組み立てが出来るものである。図7に示すショルダーの幅は掘削リグのロータリーテーブル上でスリップがライザーを保持するのにも必要な直径となっている。

 

設計評価;2次元軸対象の金属ネジ継手FEAモデルを作製し、これを用いて弾性解析を行った。条件としては、世界TLP解析チームが示したCPRの繰り返し荷重の度数分布から控え目に近似した9種類の負荷について計算した。それぞれの負荷によって引き起こされる構造上の損傷に、1年間に予想される負荷の回数を掛け合せ、結果として1年間の累積損傷量を推定した。この手法で求めたネジ継ぎ手の推定寿命は控え目に見ても988年となり、これは設計要求値である寿命300年の3倍以上である。表3に概略の解析結果全体を示す。但し、最大応力の160,525psiは局部の応力であり、全体の疲労解析には影響していない。

 

試作品テス卜

今までの処、CPRに関するテストは軸方向張力に限って行われてきた。内径が6.31inの縮尺部分は既存設備で組み立てられ、軸方向張力で破断するまでテストされた。 トラップロック継ぎ手は15,700lbs/inで破断に至った。このテストでFEAによる予測と実測された破断状況とが良く一致し、このトラップロックの形状や製造技術によって設計許容値は達成可能である事が確認された。

実寸の直径で長さが短かい要具を購入した後、11個の12ftライザー試作品が実証実験の為に製作された(図8)。この時、1個の継ぎ手は824.5kipsの軸方向張力で破断するまでテストされた。即ちトラップロック継ぎ手は23,500lbs/in以上支えた事になる。この荷重は表2の最大設計応力比に相当する荷重より10%も高い。またここでもCPRの解析と実測された破断状態とは良く一致しており、負荷をかけた状態での試験片の伸びの計測値から、複合材管体の軸方向剛性が計画要求値を満たしている事が確認出来た。

 

 

 

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