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石油製品へのトラップロック継ぎ手の開発は、1990年にCPR用に複合材と金属製端部材の様々な接続手法の評価から始まった。評価対象の継ぎ手はシングル/ダブルトラップ、ピン、及びピン/トラップの複合構造などであった。その次に、中空吸引ロッド用の1.5in ID管の開発にかなりの労力がつぎ込まれた。この吸引管でのトラップロック継ぎ手の性能は飛躍的に増加し、最終的にはシングルトラップで円周上11,800lbs/inにまでに高められた。1996年にはこれらの結果を基に、それまでの2倍に近い荷重を受け持つ三重トラップロック継ぎ手が生まれ、現在のCPRの基礎が出来た。

トラップロック継ぎ手は適切に設計すれば、コスト的に非常に有利である。端部金物は通常の工作機械/精度管理で製作可能であり、形状/表面仕上げに関して特別な工具等を必要としない。端部材製作が容易なことと、端部に1部材のみを装備すればよいので他の手法と比較して飛躍的なコスト節約につながる。

フィラメント巻き加工の前に、芯枠金の両端に端部金物を装着するが、この時には特別な治工具を使用して正確に位置決めされる。CPR継ぎ手に軸方向の強度と剛性を与える螺旋状層は端部金物の上に巻かれ、外側に置かれた低い高さのドームを通して反転される。螺旋状層の完成後、この層はトラップ形状部分とドームとの間で固定され、ドームより切り離される。螺旋材部分はその後構造繊維材を上から巻くことによって、端部金物のトラップ若しくは溝に押し込まれる。継ぎ手の強度を増す為の局部的な軸方向の補強も、同様のやり方で施工できる。

多重トラップロック継ぎ手ではその部品形状により、荷重の伝達メカニズムが大幅に変わってくる。軸方向の荷重はトラップ面を介して複合材管と鋼製の端部金物の間を伝達される。多トラップへの良好な荷重分布を得るため、設計者は鋼と複合材の相対的な剛性比をバランスさせる必要がある。高荷重下では鋼の弾性/塑性特性をも利用することが出来る。

多くの要因によって性能が左右されるため、多重トラップ継ぎ手の設計/解析は非常に複雑である。幸いFEAは設計者が様々な材料/寸法/荷重の組合せを考慮しながら継ぎ手の特性を決定するのに有効である。Lincoln Composites社は2次元軸対称FEAモデルを十分に活用してフィラメント巻き製品の解析を行い、独自のコードを制定して処置前また処置後の作業を自動化している。CPRのFEAモデルを図4に示す。フィラメント巻きの各薄層の厚さとその材料特性は設計データと完成品のX線写真から出来る限り正確に表されており、また端部金物の寸法形状はこのモデルから直接工作図面が作られたものである。

設計者にとって最も有効なFEAの結果は樹脂の応力値とその分布図(図5)である。試験中に実測された破損状況について応力予測値との相関関係を明らかにすると、材料の最大許容応力付近で設計された構造の評価にそのデータを使用する事が出来る。このように実試験と予測値の相関関係を把握する事で、形状と材料が変わった場合の影響を、設計者は確実に自信を持って評価出来る事になる。

 

金属継手の設計

金属継ぎ手はテキサス州ヒューストンにあるHYDRIL社で設計/開発された。このプ

 

 

 

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