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る産業の経験かということである。事故に関するデータを得ることは困難ではないが、矛盾のない事故率データを得ることは困難である(或いは不可能である)。建造とメンテナンス活動が盛んな時に事故率は常により高いことから、長期間に渡って活動レベルのある尺度超える矛盾のないデータが要求される。

表-8及び9は、世界のいろんな所で報告された事故率の1つの分析を示している。残念ながら、このデータの殆どは、ALARPシステムが北海で実施される前に、そしてSEMP(RP75)及び危険分析(RP14J)文書が米国で発行される前に収集された。北海における「安全ケース(Safety Case)」の実施とALARPの確定によって、事故率は下落すると報告されている。米国におけるSEMPの実施が事故率を下げる原因となるであろうと期待される。分からないのは、SEMPにより長期間に渡る米国での率がALARPに基づく安全システムが採用される地域の率に近似かどうかということである。

表-8及び9から、世界の多くの所の安全レベルがSEMP実施前の米国ほど良くなかったことは明らかであり、それ故、最初の手段として、SEMPを基礎とするシステムの実施が安全にめざましいインパクトを与えるものと期待される。これらの地域であろうとなかろうと、より高価なALARPを基礎とするシステムの実施は、安全の増進をもたらすこととなるであろう。

 

結言

外観は、なぜリスクやいろんな国で採用されたALARPを達成するための異なったアプローチがあるのか、理解することが困難であるかもしれない。しかしながら、実行の観点から、その相違は、初めに思われたものほど大きくないかもしれない。英国の制度は本来、大きくて、避難が困難で、大部分の箇所に潜在的に不良な環境状態で大多数の乗員を配置する施設のために開発された。これらの施設のために、ALARPを設定することに対処するリスク分析の大半は、避難が可能になるまでの消火活動や一時安全避難場所での生存に関わるリスクの計算を処理しなければならない。リスクを計算するシナリオは、評価チームに操業及びメンテナンス活動とそれらの潜在的結果を考え抜くことを強制している「安全ケース」の中で述べられている。

米国の制度は本来、かなり小さくて、比較的避難が容易で、大部分の箇所が人員配置されないか、温暖な海域でごく少数の乗員が配置される施設のために開発された。たいていの米国のプラットフォームは、大火災の場合には消したくても消せないほどの大きさである。それ故、良き工学技術慣行の適用について信頼を寄せることは適切である。さらに、安全・環境管理システムに関する新しい焦点を結びつけた定性的評価技術は、平均的な米国の施設に対する十分な深度のリスク分析を提案するようにみえる。

大火災と戦うこと、又は少なくとも避難が可能となるまでに一時安全避難場所で生存することが必要であるかもしれない米国以外の海域では、米国で一般的に実施されている評価以上により形式化された評価が必要であることが論議されたかもしれない。英国における「安全ケース」アプローチの強さの1つは、例えば、事故シナリオを見極め、軽減方法を少なくとも定性的に分析するために状況を筆記するという修練が、避難が可

 

 

 

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