ではたいしたこてはないが、ブレース付ケーソン及びワイヤー支持ケーソンではかなり大きい。この発見は4つの構造物に関するUNOCAL社の経験と一致する。
〈安全性リスクコスト〉
ヒューマンエラーによる安全性に直結する損傷発生率増加に関連したリスクコストは図17に示す。図17の結果の変動幅は、ケースA及びBのバラツキの組合せと、ヒューマンエラーの推定発生率の幅に対するものである。又、コストは5年間に対応するものである。これらのコストは図16の修復コストに比べれば小さい。
〈総リスクコスト〉
総リスクコストは図18に示す。数値は損傷後、再建造するケースである。再建造ではない場合も同様の傾向となる。結果の幅は、ケースA、Bのバラツキの組合せ影響及びヒューマンエラー発生率の推定幅を含んでいる。4つの構造物の最大/最小値は各々同じ傾向を示している。最大のリスクコストは、ブレース付及びワイヤー支持ケーソンに発生している。3つの小型構造物は全て従来の4本足プラットホームに比べ大きなリスクコストとなっている。
図16(エラーによる損傷修復リスクコスト)と図18(総リスクコスト)を比較すると、ブレース付及びワイヤー支持ケーソンでは、総リスクコストの相当部分を修復コストが占めていることが示されている。
以上の結果及び所見は、UNOCAL社の経験と一致する。
〈初期及び総リスクコスト〉
総リスクコストは図19に示す。最大の総コストは4本足プラットホームである。他の3つ小型構造物の初期及びリスクコストの和は、4本足プラットホームより小さい。初期コストの小ささが、高いリスクコストを相殺して余りある。最も総コストが小さいのはブレース付ケーソンとの結果になった。
期間5年の両者の総コストの差は20〜40万$である。経営資源による油田開発の経済性及び利便性の検討はこの様な差異が重要であるかないかを示すことになる。初期コストの最小となる構造物の採用が妥当であるかどうか。小型構造物は初期コストは小さいが(図15)、メンテナンスコストは相当高い(図18)。もし、この高いメンテナンスコストとそれに要する時間が許容できて、他のより利益がありそうな案件に気持ちが引かれないなら、小型構造物は妥当であろう。
損傷の総コスト(再建造ではない場合)に対する総リスク(タイプIのバラツキのみ)の範囲は、図20に示す。暴噴、火事、及び爆発等の運用上の危険性は、構造物によらず、年に10-2と推定した。
他の新しい様式のプラットホームの推定コスト及び損傷確率も示してある。図中の線は、最小及び限界の総コストを考慮して“許容”及び“限界”を示している。4本足プラットホーム及び、3本足ヤグラは許容範囲内にあるが、ブレース付及びワイヤー支持ケーソンは限界線ギリギリである。図20が示す結論は、本ペーパー