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力の柔軟性確保、取引先との良好な関係の維持、効果的な生産計画の運用と管理などが挙げられる。

 

8. 人的資源

 

経験を積んだ人員が不足している上に、石油・ガス産業への就職希望者が多い。そのため建造期間の長期化、工数の増加、その結果としてコスト上昇を招いている。また造船業はイメージが低く、他の関連業界に比べて労働者や技術者を引きつけることがむずかしい。

マレーシア経済の急成長により発展した、高採算の他業界に労働力が流れるため、造船業の人材不足は一層深刻化している。

 

9. その他の要因

 

a)マレーシアでは造船用資機材の国内調達が不可能なため、材料費が割高になり、しかも納期が長くならざるを得ない。国内には鋼板を製造する製鉄所がない。

b)域内の主要造船所間の協力が欠けているため、均衡のとれた発展、市場の均衡が実現しにくい。

c)補助金、その他特別な助成制度のある他国からの競合。

d)国内船主向けの長期海運融資制度がないことが憂慮の種となっている。現在利用可能な融資は8ないし10年程度のものに過ぎない。近代的な船舶の経済的寿命は少なくとも20年に及ぶ。要するに、15年前後の長期融資が得られれば、国内船主にも新造船に投資する意欲が出てくるものと思われる。

e)予期せぬコスト上昇―契約締結後に新造船価格を調整することは不可能なので、造船事業者は、契約時から引渡時までの間の一切の材料費、人件費上昇のリスクを負わなければならない。

f)為替の変動一大抵の造船契約はマレーシア通貨リンギット建てで締結されるのに対して、資機材の購入は外貨建てで行われるので、マレーシア造船所は為替変動のリスクにさらされることになる。

 

? 政府の支援

 

産業振興マスター・プラン(IMP)の下、造船業振興のために下記の目標が掲げられている。

1. 重工業の発展と輸出振興を図る国策の重要な要素として位置づける。

2. マレーシア国家経済の拡大に伴う海上荷動きの増加に対処する。

IMPではまた、下記を通じて造船業が国民経済において重要な役割を果たせるとも結論づけている。

 

 

 

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