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3. 投資

 

1980年代には造船業に対する投資があまり伸びなかった。新規投資の対象は概してヨットやレジャー艇の建造設備に限られた。しかし、それ以外にもMSEの70,000DWT用シンクロリフトやトレンガヌ、ポートケランの造船所の増強計画など、特筆すべき投資計画もある。

 

4. 関連産業

 

新造船も修繕船も、それぞれが必要とする各種の技能や関連産業に依存し、またそれらの調整を図らなければならない。必要とされる技能や技術、例えば船舶設計や造船工学、冶金、機械工学は未発達で、一方、工具やダイス型のメーカー、機械工場、鋳造所等の数は少なく、また設計、計算、研究開発等の支援施設も発展が遅れている。

 

5. 技術革新

 

技術革新は周到な計画性を必要とし、今日、造船業の発展を図る上での重要な戦略的選択肢の一つである。重要なことは適時に、しかもコスト競争力を確保しながら技術革新を進めることである。

 

6. 生産性

 

マレーシア造船所の生産性向上は、日韓の造船所と比較して大幅に遅れている。低生産性の原因として、下記のような要因が考えられる。

●船主の特殊仕様を受け入れ過ぎること

●同型船の連続建造による学習の機会が限られていること

●設備の陳腐化と特定の技術面における弱点

●労働力の変動が大きく、稼動効率が低く、しかも技能が劣っていること

したがってマレーシア造船業としては、下記の実現を図らなければならない。

a)同型船の連続建造

b)CADの導入

c)特にサプライアーや機器メーカーを対象として、全国的な造船関連品目について標準化を進めること

 

7. 造船業経営と方針

 

先進造船諸国では、造船業の経営は、わが国とは全く異なった文化的背景、人間関係、伝統等に基づいた、組織・意思決定、運営の構造・手続きにしたがって行われている。これら諸国で成功した手法やアプローチの中にはわが国に移転できるものもあるかもしれないが、国内環境を一朝一夕に変えることは不可能であることを認識しなければならない。このことが海外の手法を有効に導入することを困難にしている。

これら導入が望まれる要素としては、品質管理サークル、労働者に対するインセンティブ、生産性向上運動、船舶設計と建造の合理化、効果的な組織、労使関係と労働

 

 

 

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