マレーシア
マレーシア造船産業
? 現状
現在、海運産業の需要に応じて外航船を建造、修繕する能力を質、量ともに具えた企業は、国内に2社しか存在しない。その2社とはMalaysia Shipyard And Engineering(MSE)とSabah Shipyardである。
他の約74社は、建造能力が2,000トン以下で、船舶の建造・修繕を、主に国内船主向けに行っている。
近年建造された船種はコンテナ船、ケミカル・タンカー、クリーン・プロダクト・タンカー、撒積船、貨物船、巡視艇、オフショア・サプライ船、タグ、トロール漁船、バージ、フェリーなど。
現状では、造船業は主として小型船舶を国内市場向けに建造している。建造可能な最大船型は20,000DWT。全世界の総建造量に対してマレーシアは0.1%のシェアを占めるに過ぎない。
大抵の造船所は船舶の建造に必要な工作を自社内で処理する能力があり、金属切断、溶接、機械加工等、多様な支援作業を行っている。
国内の造船所はかなり広範囲に及ぶ技能を具えているが、技能の内容は一般にロボットやコンピュータを利用するのではなくて、手作業の比重が高く、きわめて労働集約的である。業界の従業員数は1995年現在で約13,000名と推計される。
? 問題と課題
1. 基本的設備
マレーシアが国際的に競争力のある造船国に発展するためには、国内の設備や関連産業が大幅に増強されなければならない。多数の造船所では、作業スペースが狭く、多数の機器が老朽化している。
2. 造船業における景気の循環
造船業とて景気循環と無縁ではない。多数の造船所は、獲得可能な新造船契約が限られているのに対して、過剰能力の問題を抱えている。
これに対して各造船所はオフショア機器の製造に進出して多角化を図り、また一部は修繕船に比重を移している。
1990年代には造船用資源の稼働率は改善を見た。