オーストラリアの臨海地区について、残念なことに海外の見込顧客の多くは、わが国の臨海地区の作業が非能率だという風評を造船業に結びつけて考えています。実際にはわが国の造船業の環境はその風評とは全く異なるものですが、風評を信じる船主はオーストラリアに発注しようとしません。
オーストラリアの主要造船事業者は、オーストラリア造船工業会(ASA)という影響力の強い組織の構成員として今日の諸問題に対処しています。会員各社の事業活動は、わが国における商船建造事業の95%に相当し、またASAは全ての造船振興活動の中核となっています。
ASAはオーストラリア政府とともに造船産業の再構築、活性化に大きな役割を果たし、政策に関する業界の要望、ニーズ、提案などを政府に申し入れ、輸出振興のための市場戦略を策定する上での窓口となっています。
今日、ASA会員各社は、多様な船舶を効率的に建造するために、設計、エンジニアリング、企画の各面で、さまざまな課題に直面しています。近年において、各社は技術革新と適応の能力、新技術利用の拡大、新市場への高まる関心など、その積極性を実証してきました。海外船主がオーストラリア建造船の質と競争力への認識を高めるとともに、国際市場におけるわが国造船業の存在はますます大きくなって行きます。
新世紀の最初の10年間、そしてその後も、オーストラリア造船業が引続き国際競争力の課題に対応して行くものと、私は信じて疑いません。
ベアード氏はベアード・パブリケーションズの会長兼編集長。ベアード社は世界有数の海事誌、名鑑の発行社で、また展示会やコンファレンスも主催している。ベアード氏はオーストラリア造船工業会の会員。
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