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中に認められています。その歴史は「オーストラリアの元漁民」の信じられないような成功物語です。

●NQEA Australia Pty Ltd.はケアンズに本社を置くエンジニアリングと造船兼営の企業で、1,500トン以下の小型船艇に特化してきましたが、特に得意とするのはアルミ製の高速フェリーで、これは高成長が見込まれている分野です。NQEAはさらにオーストラリア海軍向けの高性能水路測量艦にも力を入れています。また国際的に評価の高い設計会社を傘下に擁しています。

●西オーストラリアのOceanfastは動力豪華ヨットと社用クルーザーの建造で世界に令名を馳せています。設計、建造、修繕をはじめ延長工事、犠装更新等、あらゆる需要に対応することができます。建造種目はフェリー、トロール漁船、水先案内艇、地震調査艇、タグ、バージ、人員輸送船、その他特殊船など多岐にわたっています。

●Transfield Shipbuilding Pty Ltd.はビクトリア州と西オーストラリア州で最大の造船所を運営しています。同社は新造船、修繕船とも大幅な需要増に恵まれ、オフショア・サプライ船、トロール漁船、巡視艇などの新造も受注しています。最近ではASI 315型巡視艇20隻を竣工し、また香港、クウェート向けにも高性能艇を建造しています。さらにオーストラリアの主要艦艇建造所として、自国とニュージーランドの海軍向けにANZAC級フリゲート艦を建造中です。

●Wavemaster International Pty Ltd.は高速アルミ艇の建造で国際的も傑出した実績があり、海外から多数受注しています。西オーストラリアを本拠とする、このマレーシア資本の造船所は、設計・工作両面で優秀な専門家を揃え、最近モジュール建造方式に転換して工作時間を10%短縮しました。

 

オーストラリアの設計専門会社―Incat Designs、AMD、Phil Curran、Graeme Parker、Mark Ellisなど―は国内・国際市場の要請に合致した、想像力豊かな設計で定評を得ています。

 

高速フェリーなど、軽量ながら高い強度が要求される船種について最近の展開としては、高性能ガラス、高品位のエポキシ樹脂にアラミドや炭素繊維を加えたものなど、複合材の使用が挙げられます。オーストラリア造船業では、船体の性能を高め、衝撃に対する抵抗を強化するために、ケヴラー等の新素材も採用しています。平板と波形アルミ板の接着を要する金属基材の使用により、船体の内装材の大幅強化と軽量化が実現したほか、遮音や断熱にも役立っています。

オーストラリアはこれらの素材を使用した船艇設計で先端を行っています。特殊船(タグ、オフショア船、浚渫船等)の分野では、オーストラリアは設計、工作両面で好評を得ていますが、ただ一般的傾向としては、標準設計をそれぞれの地域の条件に合わせて修正

 

 

 

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