私も加盟していますオーストラリア造船工業会は、わが国の民間造船業を2001年までに10億オーストラリア・ドル規模の輸出産業に成長させるべく、努力を傾けています。そのためには世界の海運、レジャー、資源、防衛等の部門を対象とした革新的な高速船の建造市場において高いシェアを維持し、そしてさらに拡大しなければなりません。
10億オーストラリア・ドル規模を超えるというこの目標は、わが国の防衛部門の活発需要を計算に入れていません。国防関係の需要はそれだけでこの目標の2倍にも相当するものです。わが業界では、2大造船所が建造する高速船(フェリー、貨物船とも)の販売促進と、巡視・検問艇や大型ヨット、クルーザー建造を主体とする他の造船所の輸出大幅増を車の両輪として、この輸出目標を達成する予定です。2大造船所はすでにそれぞれ250百万米ドル前後の輸出実績がありますが、小型船艇もオーストラリアがすでに優位にある分野です。
造船におけるこの成長とあいまって、関連・支援業界も同じような伸びを示しています。わが業界の戦略としては、造船に資材、サービス、専門技術を提供する主要な業界の発展促進も視野に入れています。
人と物を動かす営みは21世紀には世界最大の産業の一つになるものと思われます。観光収入だけでも全世界のGNPの13%を占めています。貨物輸送需要は、特にアジア太平洋地域において活況を呈し、この傾向は21世紀に入っても当分続くものと思われます。高速船技術こそ海上輸送革命の中核的要素です。
技術が画期的に、しかも競争力のあるコストで発展するため、わが国で建造される高速船のオペレーターは、一部の分野、特に短距離では航空輸送とも競合できるほどです。オーストラリア造船業はコストに関する市場の要請に応えるため、今後もより大型、より堅牢、より強力、しかもより軽量な船舶をめざして行きます。
このチャンスを捉え、オーストラリア造工は自国建造船のために世界各国への販路開拓をめざして、精力的な活動を展開します。世界市場におけるわが国造船業のシェア拡大は、海上輸送革命が加速化しようとしている、世界の主要地域への輸出の伸びにより達成されるものと見込んでいます。その主要地域とは、西・北ヨーロッパ、地中海地域、カリブ海地域、南北アメリカ大陸(特に南米も近い将来)、そして何よりもアジア大平洋地域です。
今日までのわが業界の成長は、産業科学観光省(DIST)とAustradeとの密接なつながりに助けられてきました。輸出金融保険公社(EFIC)は金融、保険の面でオーストラリア造船業を支援してくれます。重要な付加的市場として、防衛関連機器の輸出の伸びを期待しています。これは、より大型の艦艇の輸出市場への参入と、コリンズ潜水艦計画、ANZACフリゲート艦計画により開発された技術の活用に伴うものです。生産量、輸出量が伸びるということは、雇用の拡大だけでなく、業界全般の技術水準の向上にもつながります。