1.3測定器取扱い上の一般的注意
1)目的に合った測定器を選ぶこと
測定器には,それぞれ測定方法・範囲・精度というものが決まっており,要求される測定方法・範囲・精度に適したものを使用しなくてはならない。
2)静かに取扱うこと
測定器は精密な構造のものが多いので,投げたり,物の下積みにしたり,落したりしないよう取扱いには注意が肝要である。
3)常に清浄に保つこと
ごみやほこりをよくぬぐい,さびないように保管する。さびが生ずると,体積が増したり,もろくかけやすくなる。このため,作動が悪くなったり,目盛が読み難くなったりして誤差を生じやすい。
4)動いているものを測らないこと
動いているものを測ると,被測定物や測定器をいためるばかりでなく,非常に危険である。また,振動の大きい場所での測定は,測定器の寿命を縮めるので測定場所を変えることが望ましい。
5)視差が生じないよう配慮すること
ななめの位置から読むと,大きな誤差を生じる。必ず目盛の真上から読むようにする。
6)使用前に必ず点検すること
特にゼロ点が合っているかどうかを調べる。
7)温度誤差を生じないよう配慮すること
金属は温度の影響で伸び縮みする。たとえば,1℃の温度変化に対して長さ1mmのステンレス鋼は8.0×10-6mm,鋼は10.5×10-66mm,銅は14×10-6mm,黄銅は18.5×10-6mm変化する。つまり,1mの黄銅棒は10℃上がると約0.2mm伸びることになる。測定器は標準温度で正しい値を示すように作られており,JISでは20℃に決められている。
8)測定器の摩耗に注意すること。
測定面は,摩擦によって摩耗しやすい。特にマイクロメータのアンビルスピンドルの測定面やスケールのゼロ端面などには,注意を要する。
9)定期的に精度の検査を行うこと
10)定められた場所に保管すること
保管場所は温度変化の小さい,比較的低湿で振動のない場所がよい。