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補・32図のように十分大きい円盤の中心に細い鋼線あるいは丸棒を取り付けこれをしっかりした天丼に吊したとする。その円板を静止の状態から手で左右どちらかに静かに少しまわして,吊している鋼線にねじりを与えて放すと円板は左右にふれまわる振動すなわちねじり振動を生じる。この種の振動では円板が静止した状態からまわる角度を測ってふれを観測する。吊した円板の中心まわりの質量慣性モーメント(Moment of Inertia)をJkg・m2,吊している針金のねじり剛さをk[N・m/rad]とするとこの系の固有振動数は

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となる。ここで数値例を示そう。円板が厚さt=18 mm,直径D=150 mmの軟鋼材とする。この円板を吊した針金は長さl=50 cm,太さd=3.8mmφのピアノ線とする。ただし鋼の密度はβ=7.8×103 kg/m3,横弾性係数はG=8.1×1010N/m2とする。

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すなわち,この系は毎秒5.20回の割で左右にねじれる。この周期ならば当然肉眼でねじれる様子を認めることができる。ふつう我々が振動のふれ具合を肉眼で認めることができるのは高々10 Hz程度までの振動であり,もっとも高い振動数となれば肉眼で振動していることを認識することは難しい。

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