横軸のtは時間で縦軸Xは重りMを代表する点。例えば重りMの重心の位置をその平衡状態の位置から測った距離で示したものである。ふつう変位と呼んでいる。Xの正負は平衡点から上方に正,下方に負というようにとる。(この正負は便宜上のものであり,下方を正に上方を負にとっても構わない。)ここで考えたMとKが作る系の振動は平衡点をはさんで上下にゆれる。このように物体が平衡点のような基準とする位置を中心にその近くで行きつ戻りつするような運動を一般に振動という。後述するように我々の身のまわりにはいろんな形のもっと複雑な振動を生じているが,ここではこのばねに吊した重りの振動について基本的なことを考えよう。重りをはじくことにより生じたこの振動は時間がたてば振れ方が次第に小さくなり,遂には制止する。振動のふれが小さくなる現象は減衰と呼ばれている。これはこのばねの内部や支持点に働く摩擦あるいは空気との摩擦で振動のエネルギーが失われるからである。しかしふつうこの種の摩擦の影響は余り大きくなく短時間の考察では減衰効果を無視できる場合が多い。ここでもこのような状態を仮定する。補・31図において平衡点からのふれa[m]を振幅Amplitude, 2a[m]を全振幅という。そして運動の繰り返しに要する時間Tsを周期Period,その逆数f0=(1/T)[Hz]を振動数あるいは周波数(Frequency)という。振幅a[m]は,振動の持つ運動エネルギーの大きさに対応している。すなわち始めにMを引っ張ったり,はじいたりしたときにこの系に与えられるエネルギーでaの大きさが定まる。これに対してf[Hz]あるいはT[s]はこの系固有の値でa[m]の大きさに関係なく一定である。このMとKからなる系では