(3) 競艇体感型シミュレーションモデルシステムによる若者の競艇参加促進の有効性
通常、人間は行動を起こす際にいくつかの心理過程に従っている。
例えば、消費者が広告を認知してから実際に購買するまでは複雑な購買過程、広告浸透過程を経ている。
本調査研究における競艇体感型シミュレーションモデルシステムの有効性検証では上記を踏まえて、「本システムが若者の競艇参加につながるか否か」という単純な二者択一的に捉えるのではなく、「競艇参加に至るプロセスのどこにどのように有効に作用するのか」の解明を視点とする。
結論的には、本調査結果をみる限りにおいて本システムの体験が競艇参加の直接のきっかけとはなりにくいといえる。
しかしながら、普段の生活において競艇との接点がなく、恐らく話題にものばらないと思われる若者を中心とした競艇未経験層が、
● ゲームという「遊び」を通して知らず知らずのうちに競艇本来のおもしろさを認識
● 体験前と比較して確実に競艇に対する「注意」、「興味」が喚起されている
点は有効性として大きい。
体験者は、競艇参加へはまだいくつかの心理過程を経る必要があるが、この体験を通じて「競艇の競技面に関する基礎知識保有層」として一歩前進したことになる。
言い換えれば、普段の生活において、競艇との別の接点(TVをみる、友人に誘われる)によって、よりいっそう興味・関心が強まり、それが「欲求」へと昇華し、いずれ投票行為へとステップアップする潜在的な可能性を本システムによってもたらされたといえる。
本システムのねらいが、若者に対する競艇の啓蒙、すなわち話題性であることに鑑みれば、その効果(有効性)は高く評価されてしかるべきであろう。