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くりは必ずしも十分ではない。

外客に対応できる宿泊施設の整備、外国人用各種割引制度の充実、外客誘致に効果的な観光PRの工夫、わかりやすい交通・観光情報の提供、大都市及び地方それぞれの魅力を実感できる周遊ルートの整備、日本の伝統文化や芸能等に触れられる場の提供、ボランティア通訳ガイドの活用等について、地域を挙げて取組んでいく必要がある。

 

(4)「環境」、「バリアフリー」等の新しい課題への対応の必要性

今後は、環境問題への世論の関心が一層高まり、自然環境の保全や観光地の景観保持、美化等にも十分配慮した観光振興が求められる。また、福祉重視型社会の進展に伴い、高齢者、身障者等のハンディキャップをお持ちの方々が円滑に旅行できるようなシステム作りが求められる。

こうした「人にやさしく環境にやさしい」観光を推進するには、特に、観光関連事業者の理解と国民全体への啓発や協力が必要であり、地域が連携しての一体的取組みが必要である。また、環境保全のための財源づくり、バリアフリーの施設づくりのための支援制度等の新しいスキームについても検討していく必要がある。

 

(5)「住んで良し、訪ねて良し」の観光地づくりの必要性

地域住民が郷土の良さを認識し、それを誇りにし、楽しみ、ゆとりを享受するようであれば、そこを訪ねる観光客にとっても魅力ある地域になると考えられる。また、住民がその地域の歴史文化や伝統芸能等を大事にし、これを守り育て、訪れた人々との交流の中で、その良さを共に分かち合う地域ぐるみの観光サービスを提供していくことが望まれる。このためには、従来以上に、地方主体型、住民参加型の観光地づくりと、これを推進するための人材の育成が必要である。

 

(6)観光関連の情報提供システムの充実の必要性

情報化社会が進展する中で、観光関連情報を効率的に収集したうえで、観光客にわかりやすく簡便な情報提供を行い、また、観光客の側から、その興味関心に沿って、リアルタイムの情報を検索できるようなシステムの構築が求められている。

このためには、先行的な取組み例を踏まえつつ、関係方面が連携して、情報システムの開発とその拡充に向けて努力していく必要がある。

 

(7)観光客の円滑な移動手段確保のための広域的検討の必要性

航空、新幹線、高速道路等の高速交通網が拡充されてきたが、観光客の誘致や利便向上のために、今後、どのような幹線網をどのような優先度で整備すべきか、また、域内交通網をどのように充実すべきか等について、広域的な観点から検討する必要がある。さらに、外客誘致を図るうえで、広域ブロック内のゲートウェイとなる空港の機能拡充と、そこから域内各地へのフィーダー輸送の充実をどう図るべきか等について、併せて検討していく必要がある。

 

4 観光立県推進運動の新しい展開方針

 

以上のようなこれまでの観光立県推進運動の成果等を踏まえ、今後、21世紀に向けて観光の新しい課題に的確に対応していくためには、次のような方針に沿って官民一体となった観光立県推進運動を展開していくべきである。

 

(1)活動の重点を置くべき項目

? 観光関連事業者の一層の連携強化と地域における観光振興のための人材育成

? 外国人観光客の受入体制の整備

? 新しい観光魅力の創出と多様なニーズへの対応策の検討

? 環境問題、バリアフリー、旅行費用の低廉化、観光情報提供の充実等の新しい課題への対応

? 広域高速交通ネットワーク整備のあり方についての地域要望のとりまとめ

 

(2)今後の地方会議の開催方式

これまでの地方会議は、原則として隣接する2〜3県を開催単位として、会議(全体会及び分科会)二主体の進め方をとってきたが、今後は、次のような考え方に沿って開催していくことが適当である。

? 広域連携型

開催に当たっては、次の理由から、広域連携型、できれば地方ブロック単位で行うことが望ましい。その際、地方ブロックの地理的範囲については、広域連携による観光振興の観点から弾力的に捉えるべきである。また、地方ブロック単位とすると、会議での検討対象が拡がるが、当該地方ブロックの特色を反映した会議のメインテーマを設定する等の工夫により、優先度の高い課題を中心とした重点的な検討を行うべきである。

・ 航空、新幹線、高速道路等の高速交通ネットワークの拡充に伴い、観光客の移動が広域化しており、周遊ルートも広範囲にわたること。

・ 外客誘致法に基づく「外客来訪促進計画」の中で外客受入の中心となる国際観光テーマ地区(テーマルート)が設定されるが、これは複数県にま

 

 

 

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