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もそういう現象が出てくると思いますが、今のうちにそのための準備をしておくのも大切です。わが国の海外旅行を考えると、旅行会社が外国に出かけていってアテンドするシステムができていますが、日本におけるアジア系の旅行会社がどういう状況にあるのか、また、日本の旅行会社とアジアの旅行会社の協力関係はどうなっているのか。

三点目は、フランスでルジャポンセシプル、イギリスでアクションジャパン、また、ドイツでもジャパンイニシアティブをやろうとしていますが、それらにはアジアの中での日本の再評価、アジアのベースキャンプにしようという感じがあります。それからアメリカから日本へ訪れる方は、大体韓国とか香港とかに周遊しているケースが増えていますが、EUとかアメリカの日本を見る目を考えると、ベースキャンプ的な位置づけを感じますし、日本を売り込んでいくことが大事ではないかと思います。

住田委員 今の知事のお話ですが、長い目でみてどうなるのか分かりませんが、私の方のニューヨーク事務所からの報告では、現地の新聞で扱われる日本の記事は非常に少なくなってきており、最近では長野が随分出ているようですが、日本に対する関心は薄れてしまったということが報告されております。アジアは潜在的な成長能力は持っていますので、やはり日本としても本当に腰を据えてやらないとアジアだけでなく、欧米も認識してくれないのではないかと心配します。

家族旅行の問題ですが、JR東日本では長期滞在型のホテルとかレンタカー料金を従来の二分の一にすることをやっていますが、そういう旅行ができるような条件を整備する必要があるのではないか。3連休の促進とか、子供の学校の休みを工夫するとか、休暇のつくり方を変えるという条件整備をしないと家族旅行は伸びないと思います。

松橋委員 知事さんのご質問は、今、私どもが抱えている問題をズバリ専門的な立場から指摘されている印象を持ちました。アジアから来る割合は、訪日外客数400万人のうち60%強ぐらいですから、2百数十万人がアジアからのお客さんです。これは国の政策としてももちろん大事ですが、商売という観点からみても、業者間の交流が盛んで、特に九州はアジアとの交流が活発です。また、アジアから日本を見たイメージも極めていいイメージだと思っております。統計的にもアジアの人が行きたい国として真っ先にあげるのが日本ですから、国家的な戦略としてもっと進めるべきだと思います。アジアから日本を見た場合、工業国、先進国というイメージが強烈ですが、同時にアジア各国が持っていない日本固有のもの、例えば、北海道の雪、温泉あるいは食事もあり、観光資源としての本質的なものを持っていると思います。これからハード、ソフトを含めてどうやっていくのか、大きな課題だと思います。お陰様でウェルカムプラン21というのがタイミングよく出され、ムードづくりの面で大きな役割を果たしていると思っています。事実、これにより旅行業界の仕事に対する認識も相当変わってきており、やはり地方、中央あるいは官民一体となって取り組むべきだと思っています。

 

以上のように各委員から様々な発言がなされた後、「新しい展開方針」(修正報告書案)が、今回の全国大会の報告書として満場一致で採択された。

これにより、従来の観光立県推進地方会議は、平成10年度からその名称を「広域連携観光振興会議」(WAC21)とし、原則として地方ブロック単位で開催し、「広域連携型」、「地方主体型」及び「イベント連携・実体験重視型」の開催方式によることとなった。

 

議題(2) 兵庫県及び神戸市からの観光等PR

 

「新しい展開方針」の採択後、地元の兵庫県及び神戸市から観光等のPRが行われた。

 

1 兵庫県からのPR

 

貝原兵庫県知事 3年1か月ほど前に大地震が発生して以来、早く復興したいという状況の中で、政府からはコンベンションや会合をできるだけ神戸で開催することに協力しようという方針を決定いただき、運輸省にはその先頭に立ってご協力をいただいたところです。このことにつきまして衷心より感謝申し上げます。その一環として、TAP地方会議の全国大会を開催していただき改めて感激をし、皆様の期待に応えて復興したいと決意しています。

今からちょうど130年前、明治元年1月1日に神戸港を開港、それ以来、国の近代化政策のもとにそのー翼を担って発展した地域であります。今日いろいろ議論がありましたように観光客の内外のアンバランスにみられるように成熟先進国としての課題が多数あり、今構造改革がなされているわけですが、いろんな摩擦が出てくるとは思いますが、それらを乗り越えていきたいと決意しているところです。震災という大きな破壊からの復興につきましては、特に新しい日本を創造していくという気概

 

 

 

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