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国が外国人の来訪をどういう条件で認めるかということですが、送り出し国としては、例えば、わが国では最低限の海外渡航情報というのを外務省が出しまして、目的地の安全の度合いを何段階かに分けて情報を流しています。基本的にはどこへ行こうがその個人、旅行者自身の危険負担の問題で、国は関知することがないと言えます。しかし、中国ですと、団体観光旅行は政府が指定した国に対してのみ目的地として行くことができるのです。その対象国は現在タイ、ベトナムとか東南アジアの数か国がお墨つきの対象となっています。日本は団体観光旅行の目的地には指定されていません。従いまして、わが国がビザの要件を提示するにしても、相手国との条件の調整が必要です。

一方で密航、不法就労の問題なども絡むわけですが、現在、日本の外務省から中国側に一定の条件が示されていると承知しております。中国でも検討中ということですが、なるべく早くこの問題が進み、オープンになることを心待ちにしています。

照屋沖縄県観光文化局長 TAPの開催につきましては皆様、関係機関のご支援のおかげで昨年はサマーキャンペーンを全国一斉に展開させていただき、対前年度15%という入域観光客数の増大をみる成果をあげました。年間を通しても11%台の入り込み客の増加をみました。本県は単独ブロックとして開催し、会議を通じて指摘、提言をいただきましたので、今はそのフォローアップ体制をつくり、一つ一つ具体化に取り組んでいきたいと考えているところです。21世紀に向けての観光の新しい課題につきましては、まさに時代のニーズに沿った取り組みが示されているわけですが、その中でアジアの観光ビッグバンがいわれておりまして、その意味では、入域手続きの簡素化、長期滞在が可能な拠点あるいは施設の整備を図るとともに、地域文化との触れ合いができる体験型観光を開発していく必要があります。これにはやはり市町村レベルあるいは地に足のついた形で開発を進める必要があり、基盤整備面で税制とか、公共の誘導策あるいは助成支援策の導入が必要かと思います。

長澤山形県観光物産課長 国際化の流れの中で、地方空港の国際空港化の課題がありますが、山形県の場合、山形空港、庄内空港ともに国際空港化されていません。地元は長期的には受入れ体制の整備をしなければという考えはありますが、現実は仙台空港が1時間園にありますので、仙台空港を充実強化していただきたい。やはり役割分担をし、効率的に交通アクセスの整備をしなければいけないと考えています。今は行革の時代です。その意味で隣県連携をして対応させていただきたい。観光については非常に財源が厳しい状況で、いろんな施策を展開しようと思ってもできない。国はそれなりに相当努力されていると聞いていますが、そういうジレンマにあるわけで、何とか観光についての施策展開の財源をお願いします。特に特別消費税が11年度に廃止になりますが、大きな枠組みでの対応をお願いします。

貝原議長 観光という場合、自分たちが生活していることの素晴らしさというものをビジターが見に来られるというのが基本だとすれば、単なるPRというより、自分たちの生活自体を良くしていく。そういう意味で文化性を高めるとか、あるいは今後、高齢化社会、エネルギー問題など大きな人類的課題もあるわけで、そういう解決策を用意しながら素晴らしい生活をつくっていく配慮をしなければならない。だから観光予算というのは単に旅行者に対するサービスだけでなく、住みやすい素晴らしい生活ができるよう地域を高めるための予算全体をいうことになるのではないかとも思います。

青木北海道観光振興課長 北海道は昨年暮れの都市銀行の倒産以来、経済的に危機的状況が続いております。その中で大きな反省というのは、北海道は明治から開拓使が置かれて百数十年、公共事業が投入され基盤整備は進んだわけですが、産業が自立するという状況に至っていなかった。そういう中でこれから北海道が生き延びていくには産業基盤を整備しなければいけませんが、第三次産業が育ちにくい状況の中で、とにかく観光産業でもって即効性をあげ、つないでいかなければという状況にあるわけです。私個人としても何が何でも観光客に来てもらおうという気持ちで、今日のTAP会議のご意見を聞いて、北海道でやれることはとにかくやっていこうという気持ちです。観光客については、この冬も5%の伸びを示し、道外客は着実に伸びています。これは地方空港と本州、九州、四国等の直行便が本日当あるためで、国内客は平成2年のTAP以降増加傾向にあります。ただ、国際観光という点では遅れておりまして、東アジアを中心にプロモーションを一生懸命やっており、ようやく台湾から年間5万人、韓国から年間3万人という状況で、現在でも好調な台湾に加え、今後は香港やシンガポールをターゲットにプロモーションを続けなければと思っております。

貝原議長 経済は、生産性が向上すると余暇時間が増えてくる。そういう中で情報化が進むと、日で見るだけの観光は、かなり情報システムへ移っていくのではないかと感じます。そこで国内旅行を考えると、テクニカルビジットあるいはもう少し幅広く自分で行動するDIY型の形態が増えてくるのではないか。そうであれば、従来の新婚旅行や団体旅行に代わって、家族型の旅行が非常に増えてくると思われます。そこで欧米の話を聞くと、旅行しやすい家族割引とか、受入れ施設もかなり発達しているようですが、日本の現状はどうでしょうか。

二点目は、ある国の所得水準が一定の水準を超しますと爆発的に外国旅行が増えてくる。恐らくアジア各国で

 

 

 

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