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面での配慮やインフラ部分の公共事業化など、何か公的な支援がないと、日本の観光産業はこれからの国際競争で埋没する可能性があり、懸念しています。

石井運輸省観光部長 当面、外客誘致促進法関連の各種施策の中で、ウェルカムカードや共通乗車船券の導入、特定施設に対する税制特例等の低廉化のための施策を展開しています。わが国の観光地の国際競争力の問題に関しては、インバウンドとアウトパウンドの比較、そして、国内旅行と海外旅行の同一市場化といった中で、観光地の魅力を相対的に高めていく必要があり、その一つの有力な柱がコストだと思います。

石月議長 海外と国内との競争といいますけれども、問題は日本の観光魅力をどう高めるかが大事ではないか。今、日本のホテルの方がロンドンやパリよりむしろ安いのではないでしょうか。ですからホスピタリティの面での頑張りが必要であると考えます。

秋田委員 新たな展開方針という立派なものを作成していただきましたが、今や言葉や文章というより実行の段階にきたのではないか。やってみて、不具合な点があれば、必要に応じて手を入れていけばよいと思います。ウェルカムプランの中に関東、関西が結節点になるという記述がありますが、東京としても大いに外客誘致に努力する必要があります。TAPに関しては、非常に大きな役割を果してきたと思いますので、引き続き一丸となって進めていくべきと思います。

舩山委員 新しい展開方針の中で、特に情報提供のシステム化を重点項目に加えていただきたい。国内旅行、海外旅行の問題が何かを絞っていきますと、第1は価格の問題。第2はライフスタイルが変わり、従来の1泊2日型の宿泊サービスのシステム変更が必要であり、例えば、泊食分離、連泊者に対する割引等の工夫をしています。第3は、国内旅行の持っている魅力をもう一度きちんと発掘する必要性がある。伝統芸能あるいは文化など色々なものを再発掘して商品化するほか、中長期滞在型の観光地づくりにモデルチェンジすべきだと思います。実は各地域には素晴らしい観光資源がたくさんありますが、お客さんに伝えるのがお粗末で、沢山ありすぎて、うまく選択できていない。海外に比べ国内旅行の情報提供の方法がシステマチックになっていないという面があり、そういう意味で情報提供のシステムを考え直す必要がある。インターネットでも色々な県の観光情報がありますが、もう少し旬の情報を出すべきではないか。例えば富山県のホタルイカの情報は非常にくわしく、見どころの場所を示す地図まで載っています。それから歴史街道というのがありますが、このやり方はいいですね。やはり息長く広域で取り組むことが必要です。

最後に、せっかくこういうTAPの会議を行うわけですから、できれば1年とか2年前に開催内容を知らせていただき、JRや航空会社と連携して、具体的にアクションが起こせたらと思います。

桑田岐阜県副知事 今後の展開方針についてよくまとめてあり、TAPの効果が出ていることが分かります。私ども岐阜県は7つの県に囲まれており、それぞれが競争することも大事ですが、一方で共通のものを連携しながら、広域的に行う考え方も求められています。また、情報の問題ですが、県民情報ネットワークを立ち上げました。特にこれからは外国との関係が重要で、いわゆる海外直結の時代が来たと思います。国内旅行より海外旅行の方が手軽に行けるということで、週末を海外で過ごすという時代になっています。海外へもっと情報を提供し、メニューを作り宣伝を行うこともやってみようと思うわけです。

利光委員 海外から日本を見た場合の大きな問題は、顔がないことと、魅力がないことの2つだと思います。魅力づくりには広域的に魅力ある顔をつくることが絶対に必要ですが、この提案にあるブロック化による広域交流化は非常にいいと思います。観光ビッグバンという話もありますが、例えば、官の政策の顔であるJNTOの予算をみても年間1億円しかなく、21世紀は観光促進型予算、すなわち本当の意味の使える予算を確保していただきたい。それから省庁再編の問題ですが、各国を見ると観光大臣までおいて、観光誘致政策を掲げている。21世

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