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が足の引張り合いをしていたが、TAPの運動展開により地方自治体が観光に強い関心を持ってくれるようになった。昭和30年代は、選挙で立候補者が観光振興を言うと落選したが、今は、逆に、観光を口にしないと落選してしまう。近隣県どうしでも、滋賀と岐阜のように経済圏が違うと足の引っ張り合いがないため観光協力がうまくいくが、経済圏が同じ近隣県では、うまくいっていないケースもあるようだ。これからの地方会議は広域開催であるべきだが、ブロック単位としたときでもポイントがきちんとつかめるよう、いい案を運輸省の方でまとめてほしい。

 

(6)地方会議のブロック単位の開催は、非常に結構。現在貸切バスのエリア(事業区域)についても規制緩和を進めている。地域によって広狭いろいろだが、都道府県単位ぐらいに拡げたい。その際、営業所が隣の県に近い位置にあるとき、隣の県もエリアに含めるような改善策もあるが、広域化に伴う利点と欠点を調整しながら検討しているところ。

国際観光の振興に当たっては、言葉の問題にどう対応するかが重要。ハウステンボスでは、耳に当てるレシーバーを用意して、英語、中国語、韓国語を自由選択できるようにしたが、これにより通訳が不要となった。また、長崎市では、登録ボランティアガイドの制度を設けてその活用を図っている。

 

(7)旅行会社や航空会社の立場からみたとき、ブロック単位の方がキャンペーン対象としてとりあげ易いし、成功するだろう。ただ、ブロックとしてどの範囲まで含めるかが難しいときもあり、配慮が必要。

いろいろな地域からキャンペーン対象に取り上げてほしいとの要望が旅行会社に寄せられるが、関係各方面と事前に十分すりあわせ、連携していくことが重要。TAPの地方会議も、いつ、どこで開催するのか早めに発表してほしい。最近、JRと地方自治体が組んでのキャンペーンが盛んであるが、これと連携できればさらに効果が増大すると思う。

 

(8)地方会議のブロック単位での開催は、いい方向。「ウエルカムプラン21」の推進はTAPにおいても重要課題であるが、最近は、韓国、台湾等のアジアからの外国人客が増加している。しかも、ハウステンボスだけでなく、京都で古都の情緒を楽しみ、さらに、加賀屋のような高級旅館に足を伸ばし、高額消費する客が出てきている。今後はアジアのマーケットも重視し、しかも10日間程度、外客が日本に滞在することを念頭に置く必要がある。

また、地方の自然の良さのPRも大事だが、大都市観光についても、きちんと対応すべき。例えば、東京のレインボーブリッジから横浜のベイブリッジの間の高速道路を走ると、その大規模構造物や夜景の美しさが立派な観光資源となっている。さらに、食事についても、日本食のバイキングは外人には向かないので、万人の好む中華料理を用意するなど、きめの細かい対応が必要。いずれにせよ、TAPでは国際化への対応をぜひ取り上げるべき。

 

(9)観光を広域ブロックで考える前提として、あちこちを周遊する観光客を念頭に置いているが、一方で、安価で1カ所に長期滞在する観光(観光ではなく保養か。)も増えていくので、こうした観光形態にも対応していくべき。

 

議題(4) 「観光立県推進運動」のこれまでの総括と

21世紀に向けての新しい展開方針(報告書案)の審議

 

事務局からの報告書案の説明に引き続き、審議に入った。各委員からの主な発言は次のとおり。

 

須田委員 ブロック単位での開催は、大変結構だと思いますが、ブロック単位だと検討対象が、非常に広範囲で議論が少し散漫になるという心配がありますので、地域特性を反映したメインテーマあるいはキャッチフレーズのようなものを1つ表題に出して、重点を絞って議論すればよいと思う。

愛知県では産業観光キャンペーンというのをやっており、これは織物、自動車等の地域の産業遺産や技術を展示した資料館、展示館を観光資源としてPRし、全国の方に来てもらおうというものです。このような産業観光をネットワーク化する構想を考えており、全国の商工会議所に呼びかけてみようと思っています。

井手委員 公共で整備した施設は似たようなものがたくさんあるが、その多くはソフトのノウハウもなく、有効に使われず、費用対効果が悪いと言われている。ブロックでやることによって、ばらばらではなく何か特徴のある大きなものを作っていく方が良いと思う。また、我が国の公共料金が高いのは、土地代や人件費の高さによるところが大きい。国において観光を大事にしていくならば、土地税制のあり方や安い労働力の活用方策等についても、ぜひ検討していただきたい。

杉浦委員 国際競争力のある観光地づくりの必要性が、今後の基本的なポイントになると思います。問題は国内の各種観光産業のコスト高にあり、低廉化に向け関係者がコストダウンに努めることが第一です。その上で税制

 

 

 

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