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力ある居住地となっていく要素は沢山あります。歴史と自然と交流という三本柱のまちづくりの進展によって、魅力ある居住地としていくことが目標です。

 

2-2 伝統的建物の修景と保存

(歴史を活かしたまちづくり)

 

中山道柏原宿の美しいまちなみをどう保全していくかがまず重要なテーマです。江戸時代から現代に至るまでの綿々とした歴史の流れで形成された柏原宿のまちなみは、そのほとんどが伝統的工法で建てられているのが特徴です。現状のまま推移すればそれでいいと考えられますが、今後、現代的な建物に更新していくと今のまちなみの良さが失われる恐れがあります。伝統的建物は現代にも通用する良さと美しい外観をもっていますが、生活しにくい面があるのも事実です。したがって、その良さを活かしつつ、内部は生活しやすいように改造することが大切です。

ではどのように伝統的建物の修景と保存を進めればいいのでしょうか。

 

?伝統的建物の良さを皆の認識を高める

何よりも住む人自身が伝統的建物の良さを自ら知ることが大切です。まちなみとしての景観の美しさ、落ち着いたすまいのたたずまい等、現代の新しい建物にはない柏原らしい個性をもった建物に住むこと、これが皆の誇りとなるようにしていくことです。

 

?修景保存に対する助成と技術的支援

伝統的建物を維持保存していくには多大な経費を必要とします。これが老朽化を進め、安価な現代的建物に変化していく大きな要因でもあります。皆でまちなみを守っていこうとする方向づけが必要ですが、柏原宿の歴史的景観を守って住宅の改修等を行おうとする人には、修景保存に対する助成措置が望まれます。国による助成措置としては「重要伝統的建造物群保存地区」の制度がありますが、町単独で助成措置を行っているところも全国に多くあります。但し、これには財政措置がいりますので、町行財政との調整が必要です。

また、伝統的建物の修景保存については、伝統工法とデザインに習熟した設計者や大工さんが欠かせません。その育成も必要となります。

 

?住むための改造も平行して

伝統的建物はそのままでは住みにくいといえます。特に高齢化時代になり、お年寄りやハンディをもった人達には極めて不親切な住まいといえます。しかし、今後の福祉を考える時基本となるのがノーマライゼーションと在宅福祉です。それも大規模な改造をしなくてもちょっとした工夫でずいぶん住みよくなるものです。福祉の改造については、補助制度もあります。何をいっても改造相談を気安く、実質的に行えるようにすることが第一といえます。

 

?空家の保存と活用にむけて

まちなみの保存については、空家の問題があります。家に住むことをやめればすぐに傷んできます。とにかく、まず住み続けることが大切です。柏原宿には柏原接骨院のように外部より入居したいい例もありますが、空家の所有者が遠くにいたりして、なかなかうまく活用できないことも事実です。

魅力ある住環境となっていけば、外部から柏原に住みたい人も増加してくるでしょう。この時、その受入れをシステムとして整備することが重要です。所有者が安心して貸し出

 

 

 

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