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せるような、町あるいは第3センター的な組織が空家の活用の仲介ができるようなシステムの創設がのぞまれます。また歴史的価値の高い建物については是非公開民家として保存していきたいものです。町が買収していくのはなかなか財政的に苦しいと思いますが、できれば寄贈あるいは借家という方法も考えられます。

 

2-3 地区環境の保存と活用

柏原宿を特徴づけるものに地区内外の豊かな自然や暮らしがあります。このようなまちなみの表、奥いたるところに花がみられます。まちなみをはなれると豊富な緑、美しい田園が拡がっています。中山道を少しいくと、樹齢何百年に達する見事な楓並木があります。水路には、湧き水、井戸もそこここにみられ、水の美しいまちでもあります。

 

?周辺の農地、自然の保全

今のままで周辺の農地や自然が守られていけば問題はないのですが、経済の進展からいろんな建物が建っていったり、農地の荒廃が憂慮されます。柏原宿の家は、ほとんどが農家でもあるという大きな特質をもっています。したがって、まちの活性化には周辺環境の維持保全にも大きくかかわっているといえます。したがって営農継続の手当が大切であるとともに、何らかの土地利用の規制方策を検討する必要があります。柏原宿に住む人の総意で緩やかな形での景観、環境保全のとりきめ(町による条例、要綱含む)ができないでしょうか。周辺が崩れいけば、柏原宿の地区環境は台無しになります。

 

?水、花を活かした暮らし

水の美しさは柏原宿を特徴するものですが、水量も減り、井戸もだんだん埋められてきました。しかし、まだまだ多くの水路や井戸が活きています。これをもっと活かすことができないものでしょうか。まちの暮らしにもっと水を活かして、地区の暮らしのシンボルとしていく工夫が大切です。とにかく1つの井戸、1つの水路をまずシンボルとして整備し、皆で守り育てることをしたらどうでしょうか。そして生活そのものを環境保全型にしていくことを柏原宿のテーマにすることが大切です。

花も同じことです。より具体的なテーマとしてとりくむことができ、既に柏原宿では実施されているようです。これらは、滋賀県の「創意と工夫の郷づくり事業」や「近隣景観形成事業」等の活用が考えられます。

 

?宿場全体を大きな一軒の家感覚で

地区環境上の問題もあります。特に車の問題は大きいものがあります。宿場内を歩いていても少し危険な時があります。無制限な駐車も問題です。一方通行化や共同駐車場等により、なるべく車の通行量を減らしていく工夫が大切です。雪の問題も大きな課題です。しかしながら、大幅な地区改善事業は、中山道のまちなみそのものを壊してしまう危険性が大きいものです。完了している河川整備も防災的に安全性は高まったとはいえ、コンクリートの三面張りは味気のない景観と水との親しみを失わせました。今までのまちなみと強固なコミュニティを活かして、人と人とのつながりによるソフトなシステムをまちの基本にすることが柏原宿の地区環境改善の柱となるでしょう。防災や福祉の基本的整備はいりますが、それを活き活きと稼働させることが最も重要です。

 

 

 

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