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5-2 基調講演「歴史街道再発見」

 

今日の京都新聞に環境税に賛成だという人が66%という記事が載っていました。この環境税は、地球温暖化に対する対策として出されており、この問題のために、我々のライフスタイルを変えなければならないといわれています。都市計画を研究している立場から、この問題には非常に関心を持っており、この問題はまちづくりの観点からきちんと考えなければならないと考えています。つまり一度人間が創ってきたものを大切にする、ということが重要で地球規模での発想というのは、まちづくりを考える上で欠かせないことです。このことは一地域の運動もきちんと展開される必要があり、みんなが楽しく集まって住んできたまちなみを大切にしていくことも、温暖化の課題と重ねても重要と思います。

このナショナルトラストの運動にも精力的な働きをされた西山先生は、景観は乱開発に歯止めをかけるための重要な指標であるといわれました。彼の意欲は、先人が創り出した知恵や合理的なシステムを内包するまちなみを生活者の立場から守っていこうということでした。

柏原のまちについては、このような立地条件でありながら、これだけの永きに渡って伝統的なまちなみが残っているのに驚きます。ここは宿場町なので、りっぱな都市的な家並みを持っている。庭が裏側にありそれも美しい。そして、昨日は4軒ほどのお宅にもおじゃましたが、昭和35年から45年に建てられたお宅で、すでに高度成長に入った時期ながらも伝統的な様式に基づいて建てられていました。手入れもしっかりとされており、自分の山で採れた木で作られている。これは先ほどの温暖化対策の話でいくと、非常に優等生であると思います。現在ではエネルギーを浪費している日本が、数十年前にはこのようなシステムが根付いていたことはすばらしい。また改造にしろ、きちんとされており、柏原にはこのようなあるものをていねいに継承していくという能力が備わっているのだと感じました。

(講演より抜粋)

【平安女学院短期大学 中林浩教授】

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