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4-3 柏原の家

 

(1)地元大工さんの知恵

日本の家の建てかえは、30年以内に行われていることが「住宅金融公庫」の資料に載っている、地元で代々、工務店をされている西村忠さん(74)と大工職の相馬定利さん(63)のお二人に柏原での「田舎造り」について、お聞きした。「住宅は二〜三代100〜150年ぐらいは持つように建てるのが本来の建て方だ」と家を考える際に参考になる五つのお話をお聞きした。

 

?家をつくるには春普請が一番

これから手がける建物の図面を広げながら、「大工の仕事は、早く沢山できるものではない、12月寒いかかりから、乾燥した材木を入れて刻むことから始める。基礎工事を終えて春風が吹くころ建前が終わり、左官工事にかかる。竹であんだ壁下地の土壁の片方が乾くころ、瓦を仮置きして建物に荷をかけてやる。梅雨前までの工事だ。細かい仕事を済ませ、昔は台風の前お盆に、建て主に引波しをした」気候にあわせて無理のない工程が大切だとお二人は言う。

 

?木造は十分に乾燥した材料でつくる

材料置場に寝かせている木を見ながら「田舎普請に使う木材は十分寝かした乾燥材でなければダメだ。木の皮剥ける頃切ったものはかびがはえる。11月以降に切った木は木の艶(つや)が違う。半年は最低寝かせて乾かしてやらないと」。西村さんによれば「急がなければ十分、木はある」と言う。

 

?「筋違い」は細い柱や梁で必要になる

阪神大震災で沢山家が籔れ人が死んだ、相馬さんは「貫(ぬき)と楔、込み栓や二丁差し工法などで揺れ戻りができるようにしている、地震にも強い筈」。「田舎普請は“筋違い”でなく、“木の太さ”と地震のゆれを考えた“木の組方”と“真壁”で持たせている」。プレハブと同じ単価で、通り柱の役物等は”ごっつい木”は使えるそうである。

「小屋組、床組にも雪の重さに耐えるよう又、耐震的な大工の工夫がいろいろある」と話していました。

 

?基礎が1番肝心

西村さんは「長く持たせるために、基礎が一番肝心です。しっかりコンクリートのベースを打ち、湿気を通さない石の上に栗材で土台をつくる、こうすれば土台は腐らない。床下は人が入れて締め固めができる二尺ぐらいの床高さは欲しい。風が吹き抜けるようにすれば白アリの被害もでにくい」と語ります。

 

?家は手入れしないといけない

当たり前だができないことが手入れ、維持管理はかかせない。「日本は雨が多い。瓦屋も40〜50年持つように葺くけれど、自分で時々屋根に上がって割れた瓦を取り替える気構えはいる。水や湿気が木を腐らす。家はあけてやって、風をいれてやらにゃかわいそうだ」。お二人とも。見てくれが重んじられる風潮に意義ありで、もっと大事なことがあるとと締めくくりました。

 

 

 

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