「柏原によせる思い」
谷村潤一郎
柏原区に残存する江戸時代柏原宿の連続記録「万留帳」から入った私の郷土史研究は、未踏の調査課題が多く苦しみも大きいが、充実したライフワークとなっている。柏原宿については今まで新旧坂田郡志や山東町史他で取り上げられてきたが、坂田郡又は山東町全体を視点に置き、その一地域としての説明という制約を受け、不本意ながら割愛されたものも相当大きくかった様に思われる。したがって編纂上使用されなかった又埋蔵されたままの史料も発掘駆使して、掌上の球体を観察するように柏原宿像を構築し、学区住民の方々に提供できないかと思案している。
さて、高齢化社会の急速な到来で、国内観光旅行者の主役は、確実に中高年者層に移ってきた。中高年者が歴史ゾーンでの日帰り散策コースを選定する場合、柏原宿とその界隈はJRの駅近にあり、史跡の多さとゆったりした気分に浸れる、宿場内雰囲気と自然眺望等から最適地の一つに選ばれ、さらに企画力・展開努力如何で観光地として大化けする可能性さえ秘めた土地柄のように思われてならない。反面マイカーで「ガヤガヤ」来訪する若者や家族連れには不向きであり、期待しない方が得策である。中高年者の観光バスやJR利用者が来訪する静かでクリーンな観光地としての展開が望ましい。
次にかかる観光地を志向するため、暴論的であり、実現可能性は少ないが、幾つかの持論を提言したい。
1,寝物語会館を現地長久寺に新設。
2,他所に現存する柏原宿南部本陣建物と表門建物を買収移築。
3,伊吹文館、中川泉三記念館、吉村公三郎松竹映画館の新設。
4,無住化している旧家建物を来訪者休憩所に。
5,一里塚の再現。
6,廃道化した長沢、梓間旧道並木道の復旧。
7,天野川源流と伝承の、長沢菖蒲池の再現。
8,成菩提院を観光寺化のため、施策の考案。
9,徳源院境内に宝物殿の新築。
以上、柏原宿の再構築は、大字柏原区事業とか、歴史館だけとか小さく捉えると、失敗するのではと考える。大きく柏原学区全体を歴史ゾーンとして取り組むことが必要ではないだろうか。