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2-2 柏原と湖北・美濃地域

 

(1)近江の入口としての柏原

中山道は江戸日本橋を起点とし、信濃地方を通った後、美濃地方にはいり美濃平野から関ヶ原、そして柏原へと至る。柏原は60番目の宿であり、もう京、大阪へは後7宿を残すのみとなる。59番目の宿は現在、岐阜県関ヶ原町の今須宿である。したがって柏原宿は近江の玄関口の位置づけをもつ。この地域は、北に伊吹山系、南に鈴鹿山系がせまり、東西日本を結ぶ地にあり、現在も東海道新幹線、JR東海道線、名神高速道路が走る交通の要衝である。

また、多くの県境は山の屋根線や河川でくぎられるものとなっているが、ここ近江、美濃の国境は、寝物語の里にみられるように、平地で一本の水路で分かれているにすぎない。したがって、古来より人に行き来は頻繁であり、生活圏域も錯綜していた。

 

(2)湖北・美濃地域の狭間で

山東町は、行政的にはもちろん滋賀県に属しているが、上記の地理的条件の中において商業、通勤等の生活圏域は、むしろ美濃地方との係わりが深い。通勤者にしても大垣市方面の方が多く、商圏も大垣市圏域に組み込まれている。実際の時間距離においてもJR線利用であれば、滋賀県側の長浜市(人口約5万6千人)まで約30分(乗換え含)、彦根市(人口約10万3千人)まで25分、京都市(人口約139万人)まで約1時間20分要するのに比して、岐阜県側の大垣市(人口約14万8千人)まで約20分、岐阜市(人口約40万3千人)まで約35分、名古屋市(人口約208万人)まで約1時間と中部圏の方がより近接している。したがって住宅地としては、むしろ中部圏の需要の方を考えるべきであろう。

文化的には、京都、近江の影響が色濃いが、柏原宿の建物で美濃地方の大工の手になるものもあり、その面でも。相方の影響を受けている地域といえる。

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