1-2 くらしの目から
メンバー:明星善市,田中庄二,松永信精,中谷健治,島田廣己,山本稔,脇阪輝雄,力石寅次
アドバイザー:室崎生子
(1)生活者の視点ってなに
1班は生活者の視点から柏原宿を見直そうというグループである。よく知った土地に長年くらしてきた人達が中心のグループとなった。主婦の参加者がいないせいか、最初の出だしははずみがつきにくい雰囲気で、生活者の視点とはなんだということになる。が、子ども時代を思い出したり、毎日の生活を思い出しながら、生活するという目からみたらどんないいところがあったか、いまでもあるか、また危険なところはないか、不便なところはないかなどをさがしてみようということになる。短い時間で生活空間をとらえるには、街道筋のおもて通りだけでなく、裏の道も含んだ地域の生活空間としてのまとまりをみて歩こうとコースを決める。
(2)さあ、出発
あいにく小雨がふっていたがそれもおちついた雰囲気がする中、歩きはじめる。すぐに街道筋の川崎宅の前の水路に下りる階段をみつけ立ち止まる。裏の庭に湧き水の池があるそうで、そこから流れてきている水だという。むかしはここで洗濯などもしていたという。
のぞくと小さい魚(はや)が泳いでいる。水路で沢蟹を見つけた人もいる。生き物を見つけるとわくわくしてしまう。子どものころ魚を取って遊んだなど話が弾む。街道筋では古い大きな家が空き家で放置されている。ここは○○の家ですわ、と地元の方は住んでおられない家の事もよく御存知だ。特に空き家の集中している町内もある。すでに空き家が取り壊され空き地になっているところもある。あとにどんなものができるかはおおきな関心事である。空き地になっていたので庭にほられていた湧き水の井戸とその上屋や洗い場として使っていた水路を見学する。歩いているあいだも、井戸をあちこちで見かける。けっして水量は豊かではないとのことだが、いたるところに湧き水がでる水の豊かな里だという事をあらためて確認する。そのためか、この地域の歴史は随分古くに逆上るのだと。
道路工事のため埋もれてきたので少し引き上げたのだという道標(やくしみち)を右に見て裏道の方に入る。ここは津島神社の参道だったのでむかしは鳥居がたっていたらしいが今はない。神社はかっこうの遊び場だったとのことである。裏筋のとおりはいちだんと静かである。美しく手入れされた庭や畑の間のせまい路地を歩く。お寺もあり、藁葺き屋根(くずや)も数軒見かける。街道筋とまた異なったなかなかよい雰囲気を感じる。途中、庭仕事をしてる人に出会い挨拶がかわされる。塀がないので、歩いている人から、庭や畑がよく見え声もかけやすい。こうしたなにげないやりとりができる空間は、生活の匂いがしてあたたかい感じを受ける。塀がないのは、冬の雪の処理がしやすいためとのことだ。
「この道を昔、通学してました」と懐かしそうな人もいる。しばらくいくと保育園につく。財産区の経営管理する保育園である。残念ながら休日のため子どもたちの遊ぶ姿がみえない。元小学校のグランドもあり、このあたりは町民の活動を組み込んだまちづくりのキイポイントになりそうなところである。
歩いている集団には地元で顔見知りの人もいて、車がぶつかったらしくてカープミラーが歪んでいるとの訴え有り。こうして歩くことが、しらずしらずまちの点検になっていた。