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地区計画制度は、計画の策定段階から実現にいたるまで、地区住民等の意見を十分に反映させることを義務づけた住民参加型まちづくりを進めていく制度である。

なお、伝建地区は、地区レベルのまちづくりを進めていく上での、市町村による地区計画的な行政事例注2ということが出来る。

 

?自治体独自の条例にもとづく歴史を活かしたまちづくり制度1970年代に入ってから歴史的景観を保全・整備することを目的に、先駆的な自治体によって独自の町並保全のための条例が制定されていった。そして、その条例の中に「町並保全地区」「歴史的景観保全地区」などといった名称のもとに歴史的町並を地区指定しその景観を保全していく制度か設定され、町並保全への取り組みが盛んになってきた。その後、1980年代に入ってからは、歴史的町並のみならず現代的な町並をも含めた市街地全域を対象に、都市・農村景観を整備するための景観条例

などが、多くの自治体で制定されてきている。

自治体独自の条例によるまちづくりは、国庫補助とは必ずしも連動せず、基本的には自治体独自の予算となるため、予算的な面からは限られており十分な効果を発揮するには、小さな自治体では財政的に苦しいのが実情である。

三重県においては「伊勢市まちなみ保全条例」と「四日市市都市景観条例」の例がある。

 

(4)まちづくりへの提案

 

? まちの将来像をみんなで描こう

前述の通り、「都市計画法が眠っているまち」「都市計画不在のまち」という問題点を真剣に受け止め、このことの意味する重さ(市場庄の歴史的景観の破壊、生活環境の悪化の一層の進展など)を理解することから、明日のまちづくりの第1歩が始まる。

21世紀においては、全国的に「超高齢化社会」「少子化社会」などといった社会的変化が、一層、進展していくことが予想されている。市場庄においても同様の状況が進展していくことは必至であり、そのような状況の中で、「高齢者にやさしいまちづくり」「相続問題などを踏まえた上での次世代か住み続けていくことが出来るまちづくり」「現代的生活と農業が両立

 

 

 

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