破壊する無秩序な宅地化を防ぎ、計画的に生活環境を整備することが重要である。
?都市計画不在のまち
上述の通り、三雲町は都市計画区域に指定されていながら「線引き」がなされていない。「線引き」されて「市街化区域」となった地域は、そこでどのような土地利用を行うのか(住居系か商業系か工業系か)を明確にしていくために更に用途地域を定めていくこととなる。そして指定された用途地域ごとに、建ペイ率・容積率などが定められ、その法的なルールの中で良好な生活環境の整備を行うこととが可能となる。
現在の市場庄は、用途未設定地域である「白地地域」であり「建ペイ率70%・容積率400%」というきわめて緩い土地利用規制となっている。容積率400%というのは、都市部において中層・高層のデパートやオフィスビルなどか林立する商業地区並みの状況であり、それは三雲町のそして市場庄の生活環境の現状から大きくかけ離れてしまっているのである。また単に高容積率の問題のみならず、用途未設定地域のため、商業系、工業系の建築が市場庄の中に入ってくる可能性がある。
現実的には、商業系・工業系の大規模建築が入ってくる可能性は(当面の間は)低いと考えられるが、コンビニエンスストアーなどの現代的な小規模商業建築が市場庄の中に入ってくる可能性はあるのではないだろうか。
(3)歴史的町並を活かしたまちづくり制度の紹介
?法によるまちづくりか、条例によるまちづくりか
まちづくりを行う場合、都市計画法などの法に基づきその中の制度を使用して行う場合と、自治体独自の条例などに基づきその中の制度を使用して行う場合がある。以下、歴史的町並を活用したまちづくりに取り組む上で、都市計画法などの法に基づく制度と条例による場合について簡単に紹介してみたい。
?文化財保護法・都市計画法・建築基準法にもとづく歴史を活かしたまちづくり制度
「伝統的建造物群保存地区(文化財保護法・都市計画法)」
日本において歴史を活かしたまちづくり制度の柱となっているのが、文化財保護法および都市計画法にもとづく「伝統的建