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(2)市場庄におけるまちづくり上の課題

 

?「都市」それとも「農村」

三雲町は都市だろうか、それとも農村だろうか?

答えを先にいうならば、土地利用に関する法律上は、三雲町は「都市」でもあり「農村」でもあるのである。正確に述べるならば、三雲町は、土地利用上、農業振興地域(農業振興地域の整備に関する法律)と都市計画区域(都市計画法)の両方か全域に重ねられているのである。

現在、町の全域か都市計画区域でもあり農業振興地域でもあるのは、昭和45年に都市計画区域に指定されているにも関わらず「線引き」が行われていないためである。通常、都市計画区域内は、「市街化区域(すでに市街化されているあるいは10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域)」と「市街化調整区域(市街化を抑制すべき区域)」とに計画的に区分されることとなっている。これを「線引き」というが、これは無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を目指すために必要なことである。

 

?眠りについている都市計画法

近年、住宅需要の影響を受けて、三雲町内の農地の転用が進み農地か減少するという状況をまねている。三雲町面積の約60%は農用地であるか、毎年約3haの農地か他の用途(住宅地など)に転用されており、今後もこの傾向か続くことが予想されている。三雲町は、津市と松阪市の間に位置し、中勢バイパスの開通などに伴い交通上の利便性の一層向上が期待されるなどの理由から、今後も住宅需要が継続すると考えられるためである。

前述の通り、現在の三雲町は、都市計画区域でありながら、実質的には都市計画法が働いていない状況にある。従って、法にもとづいた土地利用コントロール不在のまま、需要に任せて無秩序な市街化を招いてしまい問題となってきているのである。

眠りついている都市計画法をおこして、農業振興地域の整備に関する法律と調整しながら、計画的な生活環境整備を行うことが急務と考えられる。都市近郊農村としてのよさと、津市と松阪市の間に位置する利便性のよい住宅地としてのよさを兼ね備えた生活環境づくりを行うために、眠りについてる都市計画法をおこして「線引き」を行い、農村景観・歴史的町並景観を

 

 

 

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