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変え、国道バイパスの整備により所々旧状をとどめながらその土地、その土地の生活道として生きている。その中でなお家並を伝えているのは、この市場庄の町並のほか見ることはできないのが現状である。

 

それぞれの地域には歴史があり、歴史のない土地はない。派手でなくても、静かな歴史を持つ地域もあってもよい。ただし住んでいる土地の歴史の重みを感じないままに過ごすのは、歴史という宝の意味を知らない事と思う。

人がいて、歴史を感じさせる家並があって初めて自分の居るところがわかると思う。

そこに住んでいる人々が歴史を自覚し、自治体を目覚めさす努力も必要である。自分の住んでいる町並みが何であるか、今一度考えてほしい。

今回の調査が始まると共に空き家になっていた家の取り壊しも目にした。町並み保存調査にはつきものの現象である。行政不信そのものの姿である。

世間でよく言われる目玉めいた建造物がある市場庄ではない。大型の建物の軒を連ねる町筋でもない。

今こそ、自分の住んでいる土地を見直してほしい。

 

 

 

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