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付 論 市場庄の町づくりに向けて

1 歴史を活かした町づくり

地域の活性化を目指して、村おこし、町づくりが叫ばれてからかなり久しい。日本列島の経済高度成長のもたらした都市の過密と、農山漁村の過疎、貿易自由化による第一次産業の低迷などが背景にあることは、言うまでもない事であろう。全国各地でその土地に合った生き方を見つけ、自分たちの才覚と努力により状況の打破が取り組まれてきたわけである。その実践例もまた多く、様々な形で報告されている。

その中には古代遺跡、古い町並などの歴史遺産を再評価し、村おこし、町づくりの核に置いた事例も多く見られるし、「自然と歴史遺産」の活用を地域振興策の大きな柱に歌い上げる市町村も多い。

三雲町においても、「第3次三雲町総合計画 後期基本計画(三雲町 1996)の中に、「うるおいある地域文化の創造」として、「町並みの保存」の広報啓発活動が施策に示されている。これに基づいて、ただちに街道をテーマにしてさまざまな催しが企画され、実施されてきた。

1996年6月には、「町内外の人々にこの街道を散策しながら、いにしえの風情を感じとってもらい、その保存意識を高めるとともに、………人と人との出会い、親子の対話による連帯感などを深め」ようと、「三雲町歴史街道スタンプクイズラリー」が催されている。当日は70名近い親子の参加があったという。ついで7月には、「街道周辺の人情味あふれる人々、風景など、写真をとおして、三雲町を通る歴史街道の隠れたよさを再発見するとともに、街道をビーアール」しようと、「歴史街道フォトコンテスト」が始められ、締切りの12月には町内外から450点余りの応募があったが、その大半はこの「市場庄」の町並であった。その入賞作は、そのまま1997年のカレンダーにあらわれ、町民各戸の茶の間をかぎった。

続いて、町外講師を招いた「歴史街道研修会」、街道をテーマにした町内外の交流会などが計画されたが、実現に至っていない。

これらは町内を南北に通過する歴史的な伊勢街道を再発見し、再認識しながら、その活用と新しい町づくりへの一つの起点にしようとする構えである。

伊勢街道は東海道日永の追分(四日市市)と伊勢との間の街道は、まさしく伊勢路である。今、その街道は時代と共に姿を

 

 

 

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