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となる。また、子どもが就寝する場合もあった。南側は窓となるので、居住性がよい居室となる。このダイドコは、三重県北中勢地方の農家の、土間に張り出した下ダイドコに類似する性格を持つものであり、その存在が市場庄の町屋の大きな特色となる。

ダイドト・コはナカノマ側、カッテ側の二面が土間となるカギ、江戸・明治期には土間境には建具は入らず、開放となる。ダイドコとナカノマの間の土間は三尺程度となるので、間に踏段を置き、また、通り上間の上部に踏み板を渡すこともあった。カッテ側の土間は、南側面に勝手口が設けられ、庭への出入口になる。また、燃料の柴類を収納する裏三階への上り口も、この勝手口周辺に設けられる。

カッテ

カッテは土間であり、食器戸棚がザシキとの境の土壁の位置に置かれる。カマドは一基ないし二基が据えられ、古形式のものは漆喰仕上げとなるが、現存するものは煉瓦積み煙突付きが多い。煉瓦積み煙突付きへの転換は、大正頃と見られる。カッテの更に背後には井戸が掘られ、これを覆う角屋が設けられることが多い。

表二階

表二階はミセ、大戸口、コミセの上部に位置し、ミセの上手端ないしコミセから階段で上がる。内部は間仕切りのない一室の構成であり、床の間などの座敷飾りや押入は設けられない。また、天井は張らず、化粧屋屋根裏となるのが普通である。床は現状では畳敷となる。開口は表側に間口一間程度の引き違い窓が設けられるのみで、側背面は壁となる。窓の腰も先に触れたよう二三階を居室として利用するにはやや高い感がある。ここは現状では生活用品の収納、子ども部屋として利用されており、本来もこのような性格を持っていたのであろう。

裏二階

裏二階は、表二階との間に隔壁が設けられており、相互に行き来はできない。採光換気のための開口はないことが普通である。燃料とする柴類の収納に当てる部屋であり、勝手口やナカノマの天井の上り口に梯子を掛けて上がる。なお、柴類は白山町や嬉野町に共有山があり、そこで採取したという。

 

4.戸棚、仏壇、神棚

戸棚

 

 

 

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