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県史建築編のために行った調査三件分の成果を併せて考察していく。

町屋についてはこの他に、比較のため、同じく伊勢街道の町並である三雲町小津、松阪市六町の町屋の調査を行った。調査は秋以降、稲刈、下水道工事、神楽寺の晋山式などで、地元側の調査への対応が難しくなることが予測されたので、八月、九月に集中的に行った。調査に当っては、各戸ともに暖かな態度で協力いただいたことを特に記し、改めて感謝申上げたい。

以上、小津、六軒を合わせて、ここで取上げる町屋の内訳は次のようになる。

市場庄の町屋 十四件(妻入十三件、平入一件)

 

小津の町屋 一件(妻入)

 

一件(妻入)

三件(全て平入)

 

町屋の建築年代とその区分

表6-1は調査を行った町屋の主屋について、その概要を取りまとめたものである。建築年代の明らかなものは、宇野弘家住宅(嘉永三、一八五〇)、米本正に美家住宅(明治1二〇、一八八七)、村田恒郎家住宅(明治二七〜二八)宇野房之助(分家)家住宅(大正三、一九一四)、相馬則男家住宅(昭和一二)、林修一家住宅(昭和一三)、伊藤耕一家住宅(昭和二四)がある。その他の町屋については、家人からの聞取りや、調査員の所見に基づいて建築年代を判断した。また、実測調査による年代の下限である昭和二四年以降の町屋については、外観の観察によって特色を把握した。

建築年代判定の指標として有効と考えられたのは、以下の通りであり、これらについては節を改めて述べていくこととする。

1)正面の柱間装置

2)上屋の軒桁高

3)ザシキの内法長押

4)屋根形式

5)配置形式

また、建築年代に関わらず、あまり変化の見られない要素として、以下が挙げられる。

1)妻入

2)正面庇の出桁の高さ

3)平面構成

4)基準寸法

市場庄の町屋は、これらの年代的な指標をもとに、次の三期

 

 

 

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